税金の豆知識

  • ホーム
  • 税金の豆知識
  • Q181 【令和6年改正】10,000円基準とは?・会議費と交際費の区分・社内飲み会は「会議費」OK?/実務上迷いやすい事例

Q181 【令和6年改正】10,000円基準とは?・会議費と交際費の区分・社内飲み会は「会議費」OK?/実務上迷いやすい事例

最終更新日:2024/06/11

56590view

Q181 【5,000円基準】会議費と交際費の区分 5000円基準で実務上迷いやすい事例

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

法人税法上、「交際費」については「損金算入限度額」が定められていますが、「会議費」の場合は「全額損金」に計上することが可能です。

一方、一人当たり10,000円以下の飲食費は「交際費」の対象から除外できる基準があります。

今回は、「会議費」と「交際費」の実務上の区分や、交際費から除外できる「10,000円基準」の要件や、留意事項につきお伝えします。

 

1. 会議費・交際費とは?

会議費会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用(租措法第37条の5第2項)。「会場利用料」や「配布資料代」、会議の際の「飲食費」なども含まれます。
交際費交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(租措法第61条の4第4項)。「その他事業に関係ある者等」には、社内の役員や従業員、株主等も含まれます(第61条の4(1)-22)

 

2. 10,000円基準とは?要件は?

(1) 10,000円基準とは?

①1人当たり10,000円以下の②飲食その他これに類する費用かつ③一定要件を満たす場合は、「接待交際費」から除外できる基準があります(交際費Q&A Q1)「10,000円」基準と呼ばれます。
実務上は、当該基準をもとに「会議費」と「交際費」を区分する会社も多いです。

ただし、この10,000円基準については、「社内飲食費」は除かれていますので、最低1人は社外の方を含める必要があります (交際費Q&A Q5) 。

 

(2) 10,000円基準の要件

10,000円基準の要件は、以下の3つです。

1人当たり10,000円以下
飲食その他これに類する費用
一定要件を満たす
(3) 「一定要件」とは?

以下の内容の記載・保管が求められます。

● 飲食等のあった年月日
● 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
● 飲食等に参加した者の数
● その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称及び所在地

上記内容は、ほとんどが「レシートや領収書」に記載されていることが多いですので、実務上は、足りない部分(参加取引先名+参加人数等)だけレシート等に追記する対応が楽かなと思います。

 

3. 「実務上」迷いやすい事例

以下、上記3つの要件ごとに、実務上迷いやすい事例をまとめます。

 

(1) 1人あたり10,000円以下の判断基準

① 10,000円基準の判断は税込?税抜?(交際費Q&A Q11)
会社ごとの「消費税経理処理」に従って判断します。税込処理であれば税込金額、税抜処理していれば税抜金額で判断します。

② 一次会と二次会は通算するか?(交際費Q&A Q10)
同じお店の場合は通算しますが、お店が違う場合は、通算する必要ありません。例えば、一次会と二次会でお店が違う場合は、それぞれで10,000円以下であれば、会議費での処理が可能です。

③ 10,000円を超えた場合の取扱い(交際費Q&A Q9)
10,000円を超えた場合は、超えた金額だけではなく、全額が交際費として取り扱われます。例えば、1人当たり11,000円の飲食代の場合は、11,000円全額が交際費となります(500円が交際費になるわけではない)。

 

(2) 「飲食その他これに類する費用」の内容(交際費Q&A Q3 Q4 Q7)
内容対象理由
飲食したお店から持ち帰る「お土産」
(得意先との飲食)
飲食の延長と判断され、10,000円基準の対象となります。ただし、同じお店のため、両方合わせて10,000円以下におさえる必要があります。
得意先の業務遂行・行事開催に際して
差し入れる弁当代
「飲食その他これに類する行為のための費用」に含まれます。
得意先への手土産やお中元等×通常の接待交際費となります。
飲食店等へ得意先等を送迎する費用×飲食店等に直接支払うものではないため、10,000円基準から除かれます。
ゴルフ・観劇・旅行等の催事飲食費用×原則として、主たる目的の催事と一体不可分として「催事」に吸収される行為とみなされます。

 

4. 通常の会議費であれば、10,000円超えてもOK(交際費Q&A Q12)

 

(1) 通常要する会議費はOK

あくまで、上記「10,000円基準」は、接待交際費から除外される「取引」を判断するためのものであり、「会議に関わる費用」(会議に関連した茶菓、弁当、その他~)を否定するものではありません。つまり、その支出が会議を行うために「通常要するもの」であれば、1人10,000円を超えるものであっても、全額会議費で計上可能です。また、本来の会議費の場合は、社内外は問われません。

〇租措法第61条の4(1)-21(会議に関連して通常要する費用の例示)
会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとする。

 

(2) 高額な飲食費でも会議費OK?

「会議費」に明確な金額基準はありませんが、あくまで「会議に通常要する費用」ですので、高額なものは否認される可能性があります。

 

(3) 会議費でお酒はOK?

明確に「お酒は×」とは記載されていませんので、「会議のため通常要する費用」の説明ができれば計上は可能です。ただし、居酒屋などは「通常会議を行う場所」という点で・・一般的には難しいと思われます。

 

5. 社内飲食費の取り扱い

交際費は「社外への支出」だけではありません。会社の役員・従業員・これらの親族に対する接待飲食費は「社内飲食費」と呼ばれます(措法61の4④)。
「社内飲食費」については、10,000円基準の適用がありませんので、原則「交際費or給与」、例外的に一定要件を満たす場合は「福利厚生費」となります。社内飲食費・給与・福利厚生費の関係については、Q78をご参照ください。

なお、従業員だけでなく取引先も招待して行われる社内行事の飲食費は、従業員の分も含めて「交際費」になります。

 

6. 社内・社外ごとのまとめ

会議費交際費福利厚生費
社外に対する支出● 会議に通常要する費用(金額要件なし)。
一定要件を満たす5,000円以下の飲食代
社外関係者(取引先など)に対する飲食費用
社内に対する支出● 会議に通常要する費用(金額要件なし)。
5,000円基準はなし。
社内行事の飲食費用左記「社内飲食費用」で一定要件を満たすもの

 

7. 参照URL

交際費等(飲食費)に関するQ&A 平成18 年5月 国税庁

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/5065.pdf

接待飲食費に関するFAQ

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/settai_faq/01.htm#q2

No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm

 

8. YouTube

YouTubeで分かる「会議費と交際費の区分」
 

関連記事

濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで