税金の豆知識
Q64 解体・内装撤去費用/間仕切り・パーテーションは経費にできるのか?
最終更新日:2022/01/3170160view
オフィスのレイアウト変更などで、既にある「間仕切り」を撤去して新たな間仕切りに再区画する場合もあると思います。
また、新しい事務所や店舗を賃借する場合、以前の利用者が「内装」していた部分を撤去し、「自社仕様」に作り変える場合もあると思います。
こういった、既存の間仕切り(固定資産)や内装を撤去する場合、これらの撤去費用は「損金」になるのか?それとも新しい間仕切り、あるいは内装工事の取得原価を構成するのか?という論点です。
目次
1. 元々固定資産計上していた内部造作等の場合(間仕切り等)
例えば、オフィスレイアウト変更等で、既に固定資産計上していた間仕切り等をを撤去する場合などです。こういった、既に「固定資産計上」していた内装工事に関しては、法人税上、以下の規定があります。
(法人税基本通達7-7-1)
「法人がその有する建物、構築物等でまだ使用に耐え得るものを取り壊し新たにこれに代わる建物、構築物等を取得した場合・・・、その取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入する」
上記規定より、レイアウト変更等により、古い間仕切りを撤去する費用、撤去した日の属する事業年度に「固定資産除却損」として一括損金経理が可能です。
使用可能性に関わらず、既存資産としての価値は、既に失われています。
内装を取り壊すたびに、撤去費用や未償却簿価が資産に計上されていくと、取得原価がどんどん膨らんでいくのも変な話ですので・・妥当な結論だと思います。
2. 以前の利用者が行っていた内部造作等の場合
例えば、テナントで入居する際、以前の利用者が施していた内部造作を撤去して、自社仕様に内装工事を行う場合です。
内部造作を撤去した場合の法人税上の規定はありませんが、この場合も、上記「法基通7-7-1」の規定の趣旨より、「撤去費用」として、撤去時に一括損金経理できるものと考えます。
(根拠)
●古い内装の「取壊」自体は、新たな内部造作とは関係ないため、新たな内部造作の取得原価を構成しない。
●「旧内部造作の取り壊し」自体は、新たな内部造作の耐用年数を延長するような「資本的支出」にも該当しない。
3. 土地付き建物の場合は?(例外規定)
当初から、土地利用目的で「土地付き建物」を取得した場合などは(取得後おおむね1年内に取壊しに着手するなど)、建物等取壊し時の帳簿価額及び取壊し費用を、土地の取得価額に含めて計上します。
あくまでこのケースは、「建物取壊費用込みで土地を取得した」という事実に着目したものですので、上記1.2の例外規定と解されています。
4.新たな内装工事については?
なお、「新たな内装工事の費用」については、元の固定資産に係る「資本的支出」として「固定資産」計上します。当該資本的支出は、資本的支出の対象となった「減価償却資産」と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして取り扱います(法令 55①)。
つまり、建物に対する資本的支出なら、内装工事部分の勘定科目は「建物」となります(建物付属設備を除く)。
詳しくは、Q43をご参照ください。
5.有姿除却って?
建物等を取壊さない場合でも(形状そのまま)、下記の固定資産は、除却損の損金算入が認められます。「有姿除却」と呼ばれています(法基通7-7-2)
● 使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないもの
● 特定製品生産のための「専用金型」等で、生産中止により「将来使用される可能性がほとんどない」ことが明らかなもの
6.撤去せず、オーナーに無償譲渡する場合
内部造作を撤去せず、オーナーがそのままの状態で引き取るケースもあります。この場合、賃借人は、当該内部造作部分を「固定資産除却損」で計上できます。
この点、オーナーに対する「寄付金認定」の論点もありますが、賃借人からすれば「捨てるつもりだったものを引き取ってもらっただけ」なので、一般的に、寄付金認定の可能性は低いようです(税務通信 H28年11月21日 NO3434より抜粋)
7.参照URL
除却損失の損金算入・有姿除却(法人税基本通達7-7-1,7-7-2)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_07_01.htm
土地とともに取得した建物等の取壊費等(法人税基本通達7-3-6)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5401.htm
8. YouTube
YouTubeで分かる「間仕切り・パーテーションは経費にできるのか?」