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Q75【貯蔵品とは?】事務用品費・切手・商品券等の税務処理/消費税の取扱い・勘定科目は?

最終更新日:2022/01/31

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Q75【仕訳例付】貯蔵品(事務用消耗品費・物品切手等)の税務処理・勘定科目/消費税の取扱い

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

 

貯蔵品とは、消耗品・事務用品、切手、商品券などのことです。
税法上、「貯蔵品」は大きく2種類に区分され、それぞれで会計処理が異なっています。
例えば、事務用品等は、実務上の便宜から「購入時費用処理」が認められるのに対し、商品券等の場合は「購入時費用処理」は認められていません。

今回は、これら「貯蔵品」の会計処理をまとめます。

 

1. 貯蔵品とは?種類は?

(1) 貯蔵品と棚卸資産の違い

「貯蔵品」とは、例えば事務用品費、梱包資材、切手など事業と直接関係ない物品です。一方、棚卸資産は、商品・原材料など事業に直接関連する物品です。
貯蔵品のイメージは、「事業と直接関係のないこまごました物品」のイメージでよいと思います。
 

(2) 貯蔵品の種類は2つ

税務上、貯蔵品は下記の2種類に区分されます。

種類内容
消耗品等(物品切手以外)事務用消耗品、包装材料・販促資材など、商品、原材料以外の細かい消耗品
物品切手等切手、商品券、旅行券、収入印紙など「金銭」と同等の価値があるもの

2. 消耗品等(物品切手以外)の会計処理

(1) 法人税・消費税上の取扱い

消耗品等に関しては、実務上の便宜を考えて、購入時に「費用」にできる簡便的な処理が認められています。
法人税、消費税それぞれの取扱いは以下の通りです。

法人税消費税
原則使用時「費用」購入時「課税仕入」
例外購入時「費用」(※)同上

(※)法人税法上、例外処理(購入時費用処理)が認められる要件

●経常的に消費するもの
●毎年、おおむね一定数量を取得
●継続して取得(購入)時に経費計上
 

(2) 実務上の取扱い

消耗品等の場合は、法人税上、購入時に「費用」処理が認められていますので、実務上は、購入時に「費用・課税仕入処理」が圧倒的に多いと思います。
 

(3) 仕訳例

実務上多い「購入時費用処理」を前提とします。

(例題)
事務用品10,000円(税別)購入。期末1,000円(税別)未使用

以下の仕訳となります。

借方貸方
購入時事務用品費(課仕)
仮払消費税
10,000
1,000
現金11,000
期末仕訳なし
利用時仕訳なし

3. 物品切手等の会計処理

(1) 原則

物品切手等は、法人税・消費税とも、原則として購入時に「費用・課税仕入」にはできません。使用時に「費用・課税仕入」となります。
 

(2) 例外

例外的に、消費税上、「自社利用の場合限定」で購入時「課税仕入」処理が認められています。

(消費税基本通達11-3-7)
郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に・・課税仕入れとなるのであるが、・・自ら引換給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認める。

 

(3) 実務上の取扱い

物品切手等に関しては、実務上は、原則処理(使用時に費用・課税仕入処理)で統一しておく方がわかりやすいと思います。消費税上の「例外処理」は、あくまで「自社利用の場合限定」ですので、法人税と消費税の取扱いを分けると・・実務上はややこしくなりますので。
 

(4) 仕訳例

原則処理(利用時に損金・課税仕入処理)を前提にした場合の仕訳を記載します。
原則処理の場合でも、実務上の仕訳は、購入時費用処理、期末に未使用分を振替える処理が便利だと思います。

(例題)
●切手10,000円(税別)購入。期末1,000円(税別)未使用

借方貸方
購入時通信費(課仕)
仮払消費税
10,000
1,000
現金11,000
期末貯蔵品(税込)1,100通信費(課仕)
仮払消費税
1,000
100
翌期首通信費(課仕)
仮払消費税
1,000
100
貯蔵品(税込)1,100
利用時仕訳なし

購入時は「費用(課税仕入)」処理し、期末に未使用分だけ「費用戻入(課税仕入)処理を行います。
この点、期末振替仕訳の「貯蔵品(資産)」は、税込金額での振替処理となる点にご留意ください。
 

(ご参考)

例外処理の場合は、期末に、貯蔵品1,000/通信費1,000の仕訳を行います。
しかし、「通信費」は、一般的な会計ソフトでは、「課税仕入」で設定されています。
つまり、上記仕訳を行うと、勝手に消費税が認識されてしまいますので、消費税部分を「手修正」する必要があります。この手間を考えると、「原則処理」の方が楽だと思います。
 

4. 物品切手等利用時の消費税

物品切手の場合、購入時だけでなく、利用時においても「課税仕入」にならないケースがあります。以下にまとめます。

(1) 収入印紙

収入印紙の内容は「税金」ですので、たとえ消費したとしても「消費税不課税」となります。
科目は、消費税を認識しない「租税公課」で計上する場合が一般的です。
 

(2) 郵便切手

切手は、郵便局で購入する点で収入印紙と似ていますが、税法上の扱いは全く異なります。収入印紙は税金であるのに対し、切手は通信費用ですので、利用時「課税仕入」となります。
なお、少しややこしいですが、購入時の取扱いは、郵便事業株式会社等からの購入は「非課税」、金券ショップ等からの購入は「課税仕入」となります。
が・・最終的に利用時に「課税仕入」となりますので、そこまで深く気にする必要はないかなと思います。
 

(3) 商品券等

商品券等は、利用時も、その利用目的によって消費税課税仕入にならない場合があります。
例えば、得意先に対して謝礼的な商品券の利用は、消費税上は課税仕入にできません。詳しくは、Q138をご参照ください。科目は交際費(不課税)などで計上する場合が一般的です
 

5. 貯蔵品の管理はどうするか?

「管理」という観点では、上記の「税務処理」とは全く別で考えないといけません。
管理の観点では、その「貯蔵品」が会社にとって重要かどうか?という点で判断します。

例えば、「段ボール」を利用する頻度が高いビジネスの場合は、たとえ、段ボール購入時に「費用処理」したからといって、「数量管理しないでいい」わけではありません。使う頻度が多いのであれば、たとえ費用処理したとしても、「数量管理」は行うべきという結論になります。一方、同じ消耗品でも、「消しゴム」などは金額小なので、管理対象外という選択も可能です。
 

「数量を管理」する目的は、例えば、従業員が横流しや盗難による損害の影響等を勘案して、「会社財産を正確に把握する」ことが目的です。すべての「消耗品」ではなく、重要な「消耗品」が管理の対象となります。
 

6. 参照URL

(法人税~消耗品等の例外処理2-2-15)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_02_02.htm

(消費税~郵便切手類又は物品切手等の課税仕入時期11-3-7 )

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/11/03.htm

(消費税~商品券やプリベイトカードなどなど)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6229.htm
 

7. YouTube

 
YouTubeで分かる「貯蔵品税務処理」
 

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