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Q132【諸会費】商工会議所・同業者団体等の入会金・年会費は交際費?ロータリー・ライオンズクラブは経費性が否認される?

最終更新日:2023/10/06

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Q132ロータリークラブ・社交団体等の入会金/会費の会計処理

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

お仕事の関係で、商工会議所や、例えば、○○建設業会、○○税理士会、などの団体に加入される方もいると思います。
こういった団体に支払う入会金や年会費等は、費用処理できるのか?費用処理できる場合でも、「交際費」に該当して「損金算入限度額」の制限が生じないのか?という論点です。

社交団体、例えば、ロータリー/ライオンズクラブの入会金、会費の勘定科目も同様の論点があります。

今回は、同業者団体や社交団体に支払う「入会金や年会費」の、法人税、所得税上の取扱いにつき解説します。
なお、消費税の取扱いについては、別途「Q133」で、詳しくまとめていますので、こちらをご参照ください。

(ゴルフ会員権や、レジャークラブ会員権の会計処理は、今回とは別の論点になりますので、Q130をご参照ください。)
 

1. 同業者団体の入会金/会費

例えば、医師会、弁護士会、商工会議所、同業組合などは、税務上「同業者団体等」として、その取扱いがまとめられています。税務上、同業団体の入会金や会費にかかる取扱いは、以下の通りとなります。
 

(1) 入会金の取扱い
入会金他に譲渡可能及び出資の性格を有するもの資産計上(出資金等)
上記以外繰延資産(5年償却)(※)

(※)税務上の繰延資産については、支出金額が20万円未満の場合には損金経理により全額損金算入できます。
 

(2) 会費の取扱い
種類内容勘定科目
通常会費(※1)会員用の広報活動、調査研究・研修指導・福利厚生その他同業者団体としての「通常の業務運営のために経常的に要する費用」諸会費として損金算入OK
その他会費同業者団体等が会館の取得、会員相互の共済、会員相互の懇親、政治献金などの目的のために支出する会費前払費用。当該同業者団体等が実際その目的で利用した日に、内容に応じて、繰延資産、交際費、寄附金他

(※1)同業者団体側で、不相当に多額の剰余金が生じた場合は、剰余金の額が適切な額になるまで、「前払費用」で処理します。

 

2. 社交団体の入会金/会費
(ゴルフクラブ及びレジャークラブ以外)

社交団体とは・・例えば、「00社長クラブ」、「00朝食会」などですね。税務上、社交団体(ゴルフクラブ・レジャークラブを除く)の入会金等は、以下の取扱いとなっています。(ゴルフ・レジャークラブは、Q130を参照ください)

 

(1) 入会金の取扱い
入会金法人会員として入会交際費
個人会員として入会個人に対する給与(※)

(※)法人会員制度がなく、個人会員で入会した場合、法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、「交際費」となります。
 

(2) 会費の取扱い

法人の業務の遂行上必要なものであれば交際費、個人の役員等が負担すべきものの場合は給与となります。

会費経常会費交際費(又は、個人に対する給与)
経常会費以外の費用交際費(又は、個人に対する給与)

ただし、社交団体のうち、ロータリークラブ・ライオンズクラブについては、例外的な取扱いがあります。以下の通りです。
 

3. ロータリークラブ・ライオンズクラブの入会金/会費

社交団体のうち、ロータリークラブや、ライオンズクラブの会費・入会金については、個人会員(個人事業主等も含む)の場合は、過去の判例上は、経費として認められていない点、注意が必要です。
一方、法人会員の場合は経費として認められますが、資金使途が「交際費」の要素が強いことから、勘定科目は「交際費」として処理します。
 

(1) 個人事業主の場合は経費不可

個人事業主の場合でも、営業活動の一環としてクラブに入会し、継続的な活動により顧客を獲得するケースあると思われます。しかし、裁判例では、クラブ入会や会費は、直接的に顧客の獲得につながっているのではなく、あくまでクラブ参加による「間接的な効果」に過ぎないと判断され、経費性が否認されています。
(平成26年3月6日裁決(司法書士)、最高裁第二小法廷令和2年6月26日決定(税資270号-62(順号13422)(弁護士))

法人の場合、私的な消費活動はありませんが、個人の場合、仕事の側面の他、私的な消費活動が存在するため、「家事関連費」のうち「必要部分を明確に区分できること」ができないためです。
裁判例では、上記の考え方で「一貫」していますので、個人の場合は経費にならないと考えたほうが無難かと思われます、
 

(2) 入会金及び会費取扱い

上記の結果、入会金及び会費の取扱いは、以下となります。
 

入会金及び会費法人会員として入会交際費
個人会員として入会損金不可
(3) 青年会議所等の入会金・会費は?

青年会議所(JC)に関する入会金・会費に関してはどうでしょうか?
基本的な考え方としては、ロータリー・ライオンズクラブ同様に解釈し、個人事業主が支出する場合は、経費にならないと思われます
一方、法人で支出する場合は、会費が割安で、しかも交際費の要素が少ないことから、交際費以外の科目で処理できるケースもあるようです。例えば、交際費以外の科目では、諸会費、個人が負担すべき場合は、給与などの科目が考えられます。
 

4. 消費税の取扱い

消費税の課税判断については、ロータリークラブ、社交団体、同業者団体どの支払いであっても、その入会金や会費に対する「明確な対価性があるか」どうかで、課税取引の有無を判定する点、共通しています。

つまり、勘定科目(交際費や諸会費等)に関係なく「明確な対価性があるかどうか」という観点で、個別の判断となりますので、実務では判断に迷うところです。

「諸会費や入会金」にかかる消費税については、「Q133」で、詳しくまとめていますので、こちらをご参照ください。

 

5. 参照URL

(同業者団体等の加入金と会費の取扱い)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5382.htm

(会費及び入会金等の費用)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_03.htm

(国税不服審判所 司法書士 平成26年3月6日裁決 )
https://www.kfs.go.jp/service/JP/94/03/index.html

6. YouTube

 

YouTubeで分かる「諸会費」
 

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