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Q220【住宅ローン控除】土地だけ先に購入した場合・土地建物名義が異なる場合の住宅ローン控除の可否/繰り上げ返済や持分割合が異なる場合は?

最終更新日:2024/08/10

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Q220【住宅ローン控除】土地だけ先に購入した場合・土地建物名義が異なる場合の住宅ローン控除の可否/繰り上げ返済や持分割合が異なる場合は?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

所得税上の「住宅ローン控除」は、あくまで「居住」を前提とした制度となります。したがって、建物住宅ローンがある場合にのみ認められ、「土地のみ購入」の場合は、原則として、住宅ローン控除は認められません。
しかしながら、実務上、先に土地を購入し、後日建物を建築する場合もあります。この場合、「土地購入時点」では、まだ「居住」してないため、土地に関して、「住宅ローン控除」は利用できないのでしょうか?また、土地建物名義が異なる場合の土地の住宅ローン控除についても、同様に疑問が生じます。
今回は、「土地の住宅ローン控除」が、例外的に認められるケースや、認められないケースをお伝えします。

 

1 土地のみの購入で「住宅ローン控除」が可能なケース

「住宅ローン控除」は、「居住」が前提の特例になりますので、土地を購入しただけでは、原則として「住宅ローン控除」は受けられません。
しかしながら、先に土地を購入して、「購入後に住宅を建てる」ことが明確な場合、例外的に土地に係る「住宅ローン控除」が認められるケースがあります。以下の4つの場合です。
すべて、住宅を建てるまでの「期日が決められている」点、が特徴となります。(以下で利用する「図」は、国税庁質疑応答事例 問16より抜粋しています)

 

(1) 土地取得から2年以内に住宅を新築した場合

土地取得から2年以内に、住宅を新築した場合は、先行して購入した土地についても、住宅ローン控除の適用が可能です (措令26の3⑦五、⑫四、⑬、⑭四)。
当該規定は、金融機関からの借入金全般が対象となりますが、土地につき、家屋を目的とする「抵当権」が設定されている必要があります。

土地取得から2年以内に住宅を新築した場合

 

(2) 地方公共団体等から建築条件付き土地の購入で、「一定期間内」に新築が完了するもの

「建築条件付き土地」とは、一定期間内に建物を建設することを条件に、販売される土地のことです(建売住宅とは異なる)。
こういった「建築条件付き土地」を取得し、一定期間内(契約で定める期間内)に、新築工事が完了する場合は、先行して購入した土地についても、住宅ローン控除が認められます(措令26の3⑦三、⑩、⑪、⑫二、⑭二)。
ただし、土地購入先は、地方公共団体等(独立行政法人都市再生機構・地方住宅供給公社・土地開発公社)という要件があるため、実務上適用されるケースは限定されます。

土地取得から2年以内に住宅を新築した場合

 

(3) 建築条件付き土地購入後、家屋請負契約締結が3か月以内に成立するもの

土地取得の契約締結日後、住宅用家屋の建築請負契約が3か月以内に成立することが、土地の契約の成立条件とされている場合です。
こういった、「建築条件付き土地」を取得し、3ヶ月以内に建築請負工事契約を締結した場合は、先行して取得した土地についても、住宅ローン控除が認められます(措令26の3⑦四、⑫三、⑭三)。
なお、当該規定に関しては、上記(2)と異なり、土地の購入先は、広く「不動産建物取引業者」とされており、限定はありません

土地取得から2年以内に住宅を新築した場合

 

(4) 新築工事着工日後に受領した借入金(住宅金融公庫等)により、土地を購入した場合

土地は先に購入したものの、住宅ローンの融資実行日が家屋の新築着工後になった場合です。こういった場合でも、先行して購入した土地につき、住宅ローン控除が認められます (措令26の3⑦一、二、⑧三、⑫一)。
ただし、当該規定は、借入先が「独立行政法人住宅金融支援機構」等に限定されているため、実務上適用されるケースは限定されます。

土地取得から2年以内に住宅を新築した場合

 

2 住宅ローン控除が適用できるタイミング

住宅ローン控除の要件として、「自宅建築後、6カ月以内に居住し、かつ年末まで居住」の要件を満たす必要があります。したがって、土地を先行取得して、例外的に住宅ローン控除ができる場合でも、実際に控除を受けられるのは、自宅を建築し、入居した年からとなります。

 

3 繰り上げ返済した場合は?

原則として、土地の住宅ローン控除ができるのは、「建物住宅ローン」がある場合に限定されます。したがって、例えば、先に建物部分の住宅ローンを完済した結果、土地の住宅ローンのみが残った場合は、それ以降、土地に関する「住宅ローン控除」を受けることはできません
また、住宅ローン控除に関しては、別途、「返済期間10年以上」の要件があります。したがって、上記の場合に限らず、「繰り上げ返済」の結果、返済期間が10年以内になった場合も、その後、住宅ローン控除を受けることはできません

 

4 土地・建物名義が異なる場合は?

原則として、土地の住宅ローン控除ができるのは、建物住宅ローンがある場合に限定されます。したがって、土地と建物の名義が異なる場合は、注意が必要です。
例えば、夫婦共同で土地建物を住宅ローンで購入し、土地は夫名義・建物は妻名義(住宅ローン名義も同様)のケースです。この場合、妻は、建物に関する住宅ローン控除が可能ですが、夫は、建物に関する住宅ローンがないため、土地に関する住宅ローン控除はできません

 

5 土地と建物の持分が異なる場合

土地と建物の「持分割合」が異なるケースはどうでしょうか?
例えば、夫婦で土地建物を全額住宅ローンで購入したが、土地は全額夫名義、建物は1/2ずつ夫婦共有持分の場合などです。
この場合、夫名義の土地上に夫名義の建物は1/2しか建っていないため、土地に関して、夫は1/2しか住宅ローン控除ができないようにも思えます。
しかし、たとえ「建物持分割合」が異なる場合でも、土地の用途は不可分の関係にあることから、たとえ建物持分割合が100%でない場合でも、夫は、土地に関して全額住宅ローン控除が可能です。

 

6 参照URL

新築の日前2年以内に取得した土地等の先行取得に係る借入金(家屋に抵当権の設定がない借入金)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/06/32.htm

No.1226 特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1226.htm

質疑応答事例 問16

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070529/pdf/03-16.pdf

敷地の持分と家屋の持分が異なる場合

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/06/18.htm

 

7. YouTube

Coming soon

 

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
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