税金の豆知識
Q52【しないと損?】年末調整不要な人・必要な人・対象者は?ケースごとに徹底解説
最終更新日:2022/01/2861749view
サラリーマンの方も、会社から「収入」を得ていますので、収入に応じた「所得税」が発生します。
「所得税が発生する」ということは・・?
本来は、ご自身で税額を計算して、「確定申告する」ことが必要です。
でも、実際・・サラリーマンで「確定申告」をされている方は・・「少数」だと思います。なぜでしょうか?
なぜなら・・日本では、「年末調整」という制度があって、個々人のサラリーマンが確定申告しなくても、会社が「確定申告」の代わりをしてくれているからなんですね。
今回は、会社側の立場に立って「年末調整」しないといけない人、しなくてよい人をまとめました。
目次
1.源泉所得税って何?
年末調整の話をする前に・・毎月の「給料明細」を思い出してください。
収入に応じた「所得税」が差し引かれていると思います。これは、「源泉所得税」と呼ばれます。
「源泉所得税」とは、1年間の所得税を、月々に「前払」しているというイメージでよいです。
実は、この毎月差し引かれている「源泉所得税」は、あくまで「概算金額」です。
最終的な所得税額は、給料支払時に決まるわけではなく、12月末の「年末調整」時点で、1年間の収入に応じて確定します
年末調整の際は、扶養親族、障害者、ひとり親の方など、各人の状況を反映して各人の所得税を確定します。
これらの各人の状況を、いちいち毎月把握して、各人の状況に応じた税額を引くのって・・実務的に大変ですよね?
そこで、実務上の便宜を図って、毎月の給料支払時は、一律「額面額等」に応じて「決められた源泉所得税」を差し引いています。
2.年末調整って何?
上記のとおり、月々の給料から差し引かれている「源泉所得税」はあくまで仮の税額ですので・・
これを、最終的には確定させる必要がありますね?
この作業が「年末調整」と呼ばれる作業となります。
「年末調整」とは・・
1年間(1月~12月)に支払われた給与に対応する税金(所得税)を、年末に確定させる作業のことです。
具体的には、年末に、各人の状況(例えば、障害の有無、扶養有無等)をきちっと把握して、各人の確定所得税額を計算します。
この結果、給料支払時に「仮」で差し引いた「源泉所得税」と比べて、多く差し引いている方には税金を「返還」し、少ない方からは「徴収」します。
年末になると、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」とか「生命保険料控除証明書」、「基礎控除・配偶者控除申告書」を会社に提出しませんか?
これらの資料をもとに、会社の方では、「年末調整」という作業をして、各人の税額を確定しているんですね。
まさに、個人が行う「確定申告」と同じ作業を、会社はしてくれている!ということです。
3.年末調整しないといけない方・しなくてよい方
年末調整しなければいけない場合は、以下の通りです。
逆に言うと、下記の要件を満たさない限り「年末調整」する必要はありません。
なお、「年末調整しなくてよい人」は、他の会社で「年末調整」してもらわない限り、ご自身で確定申告をしなければいけません。
年末調整しないといけない方 | 年末調整しなくてよい方 |
---|---|
①扶養控除等申告書を提出し、12月末時点で在職している方(期中入社も含む) ②年の中途で退職した人のうち、次の方 ③パート等の方が退職した場合で、本年中に支払を受ける給与総額が103万円以下が見込まれる方 ④年中途で、海外の支店へ転勤した等により非居住者(※)となった方 | ①年末調整実施時までに、「扶養控除等申告書」未提出の方 ②本年中の主たる給与収入総額が2,000万円超の方 ③2か所以上の給与の支払いを受けている人で、他の給与支払者に「扶養控除等申告書」を提出している方。 ④年中途退職者で、左記年末調整の対象となる人以外 ⑤非居住者(※) ⑥継続して同一の雇用主に雇用されない日雇い労働者 ⑦災害による被害を受けた所定の方 |
(※)非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない方をいいます。
年の中途で、海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人は、「非居住者」となった時に「年末調整」を行います。
4.よく間違える事例
事例 | 回答 |
---|---|
アルバイトの人も 年末調整は必要? | 扶養控除等申告書を提出してもらっている方は、たとえ「アルバイト」でも年末調整が必要となります。 例外もあります。Q30を参照ください。 |
確定申告する人は 年調不要? | 確定申告するからといって、年末調整を省略することはできません。 |
年途中入社したが、 前の職場の収入はどうなるの? | 今の会社で、前職分もまとめて年末調整を行ってくれます。ただし、前職の収入額がわからないと年末調整できませんので、前勤務先から「源泉徴収票」をもらい、今の職場に提出します。 |
前の勤務先から 源泉徴収票を発行して もらえなかった場合は? | 源泉徴収票の交付は会社義務ですので、発行してもらえない場合は「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署に提出すれば、指導してくれます(ハローワークから連絡してくれる場合もあり)。 |
年途中で退職&年末時点で 再就職していない場合は? | 年末調整してくれませんので、ご自身で「確定申告」を行う必要があります。 |
5.年末調整しないと損?ペナルティは?
たまに「年末調整をしてもらわないと損するの?」という質問があったりします。
これに関しては、特に金銭面で損することはありません。なぜなら年末調整をしてもらわなくても、ご自身で翌年3月15日までに確定申告をすれば、還付されるお金はちゃんと返金してもらえるからです。
ただし、ご自身で確定申告をする手間を考えると・・めんどうですね。
また、年末調整は法律で定められた義務ですので、会社が年末調整を怠ると、形式的には罰則もあるようです。
6,参照URL
(年末調整のしかた)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm
(源泉徴収票不交付の届出書)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100017.htm
7.YouTube