税金の豆知識

Q52【しないと損?】年末調整不要な人・必要な人・対象者は?ケースごとに徹底解説

最終更新日:2022/01/28

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NO78 福利厚生費と給与・交際費の違い

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

 

サラリーマンの方も、会社から「収入」を得ていますので、収入に応じた「所得税」が発生します。
 
「所得税が発生する」ということは・・?
本来は、ご自身で税額を計算して、「確定申告する」ことが必要です。
でも、実際・・サラリーマンで「確定申告」をされている方は・・「少数」だと思います。なぜでしょうか?
 
なぜなら・・日本では、「年末調整」という制度があって、個々人のサラリーマンが確定申告しなくても、会社が「確定申告」の代わりをしてくれているからなんですね。
 
今回は、会社側の立場に立って「年末調整」しないといけない人、しなくてよい人をまとめました。

1.源泉所得税って何?

年末調整の話をする前に・・毎月の「給料明細」を思い出してください。
収入に応じた「所得税」が差し引かれていると思います。これは、「源泉所得税」と呼ばれます。
 
「源泉所得税」とは、1年間の所得税を、月々に「前払」しているというイメージでよいです。
 
実は、この毎月差し引かれている「源泉所得税」は、あくまで「概算金額」です。
最終的な所得税額は、給料支払時に決まるわけではなく、12月末の「年末調整」時点で、1年間の収入に応じて確定します
年末調整の際は、扶養親族、障害者、ひとり親の方など、各人の状況を反映して各人の所得税を確定します。
 
これらの各人の状況を、いちいち毎月把握して、各人の状況に応じた税額を引くのって・・実務的に大変ですよね?
そこで、実務上の便宜を図って、毎月の給料支払時は、一律「額面額等」に応じて「決められた源泉所得税」を差し引いています。

 

2.年末調整って何?

上記のとおり、月々の給料から差し引かれている「源泉所得税」はあくまで仮の税額ですので・・
これを、最終的には確定させる必要がありますね?
 
この作業が「年末調整」と呼ばれる作業となります。
 

「年末調整」とは・・
1年間(1月~12月)に支払われた給与に対応する税金(所得税)を、年末に確定させる作業のことです。

 

具体的には、年末に、各人の状況(例えば、障害の有無、扶養有無等)をきちっと把握して、各人の確定所得税額を計算します。
 

この結果、給料支払時に「仮」で差し引いた「源泉所得税」と比べて、多く差し引いている方には税金を「返還」し、少ない方からは「徴収」します。

年末になると、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」とか「生命保険料控除証明書」「基礎控除・配偶者控除申告書」を会社に提出しませんか?
 

これらの資料をもとに、会社の方では、「年末調整」という作業をして、各人の税額を確定しているんですね。
まさに、個人が行う「確定申告」と同じ作業を、会社はしてくれている!ということです。

 

3.年末調整しないといけない方・しなくてよい方

年末調整しなければいけない場合は、以下の通りです。
逆に言うと、下記の要件を満たさない限り「年末調整」する必要はありません。
なお、「年末調整しなくてよい人」は、他の会社で「年末調整」してもらわない限り、ご自身で確定申告をしなければいけません。

年末調整しないといけない方年末調整しなくてよい方

①扶養控除等申告書を提出し、12月末時点で在職している方(期中入社も含む)

②年の中途で退職した人のうち、次の方
 ● 死亡により退職した方
 ● 著しい心身障害で退職した方で、退職時期から見
 て本年中に再就職できないと見込まれる方
 ● 12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後
 に退職した方

③パート等の方が退職した場合で、本年中に支払を受ける給与総額が103万円以下が見込まれる方

④年中途で、海外の支店へ転勤した等により非居住者(※)となった方

①年末調整実施時までに、「扶養控除等申告書」未提出の方

②本年中の主たる給与収入総額が2,000万円超の方

③2か所以上の給与の支払いを受けている人で、他の給与支払者に「扶養控除等申告書」を提出している方。
その他、日額表「丙欄」適用の方

④年中途退職者で、左記年末調整の対象となる人以外

⑤非居住者(※)

⑥継続して同一の雇用主に雇用されない日雇い労働者

⑦災害による被害を受けた所定の方

(※)非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない方をいいます。
年の中途で、海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人は、「非居住者」となった時に「年末調整」を行います。

 

4.よく間違える事例

事例回答
アルバイトの人も
年末調整は必要?
扶養控除等申告書を提出してもらっている方は、たとえ「アルバイト」でも年末調整が必要となります。
例外もあります。Q30を参照ください。
確定申告する人は
年調不要?
確定申告するからといって、年末調整を省略することはできません。
年途中入社したが、
前の職場の収入はどうなるの?
今の会社で、前職分もまとめて年末調整を行ってくれます。ただし、前職の収入額がわからないと年末調整できませんので、前勤務先から「源泉徴収票」をもらい、今の職場に提出します。
前の勤務先から
源泉徴収票を発行して
もらえなかった場合は?
源泉徴収票の交付は会社義務ですので、発行してもらえない場合は「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署に提出すれば、指導してくれます(ハローワークから連絡してくれる場合もあり)。
年途中で退職&年末時点で
再就職していない場合は?
年末調整してくれませんので、ご自身で「確定申告」を行う必要があります。

 

5.年末調整しないと損?ペナルティは?

たまに「年末調整をしてもらわないと損するの?」という質問があったりします。
これに関しては、特に金銭面で損することはありません。なぜなら年末調整をしてもらわなくても、ご自身で翌年3月15日までに確定申告をすれば、還付されるお金はちゃんと返金してもらえるからです。
ただし、ご自身で確定申告をする手間を考えると・・めんどうですね。

 

また、年末調整は法律で定められた義務ですので、会社が年末調整を怠ると、形式的には罰則もあるようです。
 

6,参照URL

(年末調整のしかた)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm

(源泉徴収票不交付の届出書)

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100017.htm
 

7.YouTube

 

YouTubeで分かる「年末調整対象者」
 

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