税金の豆知識
Q77【還付加算金とは?】税金はかかるのか?仕訳や税法上の取扱い/還付金との違いに注意!
最終更新日:2022/01/31148270view
税金を払いすぎた場合は、もちろん、税務署から返還してもらえます。
その際には、「還付加算金」と呼ばれる「利息」が加算されて返還されます。
法人に限らず、個人事業主でも還付加算金は同様に返戻されます。
今回はこの「還付加算金」にスポットを当てます。
目次
1.還付加算金って何?
還付加算金の内容は、「受取利息」と実質的には同じです。
つまり、税金の過払い分は、銀行預金と同様、預けた期間に対応する「利息」が付されて返還されるんですね。
2.還付金が生じる場合
実務上、還付加算金が生ずる代表例を例示しておきます。
中間納付額が多い場合(法人税・所得税・消費税) | 前年実績に基づいて納付する中間納付額と比較して、当期末納税額が安く収まる場合 |
---|---|
輸出免税や設備投資等が多い場合(消費税) | 輸出免税や、設備投資等が多い場合は、支払った消費税額のうち、還付される金額が生じます |
3.法人税・所得税・消費税上の取扱い
還付加算金の実質内容は「利息」的な位置づけですが、法人税、消費税上でそれぞれ取り扱いが異なるので・・ちょっと注意が必要です。
(1)法人税・所得税上の取扱い
益金算入されます。ここは受取利息と同じです。
支払を受けた日の属する年分の総収入金額に算入されます。
(2)消費税上の取扱い
不課税取引となります
⇒受取利息と異なり、「非課税取引」ではありませんので、課税売上割合を計算する場合、分母に含めない点、十分ご留意ください。(受取利息は 「非課税取引」⇒「課税売上割合の分母」に含めます)
4. 還付加算金の勘定科目は?
上記の通り、消費税の取扱が「受取利息」と異なるため、実務上は、受取利息と区別して「雑収入」などで処理することが一般的ですね。
ただし、個人の場合は、「雑所得」扱いとなるので、事業所得上の帳簿には「事業主勘定」で入力し、別途確定申告時に「雑所得」で計上するイメージです。
法人の場合 | 雑収入 |
---|---|
個人事業主の場合 | 雑所得のため、事業主の帳簿上は「事業主勘定」⇒確定申告書で別途「雑所得」計上 |
5. 還付加算金の仕訳は?
(例題)
● 法人税中間納付額を10,000円支払った
● 期末決算での確定税額が5,000円に収まったため、
5,050円(中間時払いすぎ分5,000円+還付加算金50円)が返還された。
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
中間納付時 | 仮払金 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
決算時 | 法人税等 未収入金 | 5,000 5,000 | 仮払金 | 10,000 |
還付時 | 預金 | 5,050 | 未収入金 雑収入(※) | 5,000 50 |
(※)還付加算金部分も含めて、決算で未収入金計上(相手科目雑収入)することも考えられますが、実務的には、「実際入金時」に雑収入で計上する場合が圧倒的に多いです。(還付加算金金額の計算は複雑なので)。
また、個人事業主の場合は、雑収入ではなく、一旦「事業主勘定」で仕訳を行い、確定申告時に「雑所得」として別に申告を行います。
消費税還付金加算金の仕訳も、考え方は上記同様です。還付金は未収入金、還付加算金は雑収入(不課税)で処理を行います。
6.「還付金」と「還付加算金」は必ず区別
還付加算金は「益金算入」されますが、本税の還付金(法人税・所得税等そのものの還付金)は、「益金不算入」ですので注意しましょう。
なぜなら、法人税や所得税・住民税の本税は、支払った際に損金算入できませんので、その逆に、返還された「還付金」も「益金不算入」となります。
法人税 | 消費税 | 課税売上割合 | |
---|---|---|---|
還付加算金・利子税の還付金 | 益金算入 | 不課税 | 分母に含めない |
本税の還付金 | 益金不算入 | 同上 | 同上 |
延滞税・罰金等の還付金 | 同上 | 同上 | 同上 |
なお、「還付金」は、「還付加算金」とまとめて振り込まれることが多いです。振込時に郵送されてくる「還付加算金振込通知書」をよくみると、「還付金」と「還付加算金」が区分表示されていると思います。上記の通り、「還付金」と「還付加算金」の取扱いは、法人税等での取扱いが異なりますので、それぞれ分けて処理しておかないと、法人税の計算が間違ってしまう可能性がありますので、注意しましょう。
7.還付加算金の計算方法・利率は?
(1)計算方法・利率
還付加算金の金額は、以下の式で算定します。
還付加算金の金額=還付金額×利率(※1)×日数(※2)÷365
(※1)還付加算金の利率は、現在は「特例基準割合」を適用します。
令和3年分の利率は1.0%(令和2年は1.6%)です。
毎年、利率は下がってきていますが、民間の銀行利率が0.01%前後であることを考えれば、破格の利率です。
なお、還付加算金の特例基準割合は、「平均貸付割合+0.5%」です。平均貸付割合とは、日本銀行が公表する前々年9月~前年8月における「国内銀行の貸出約定平均金利(新規・短期)」の平均です。
(※2)日数は、還付金等に係る納付日(この日が法定納期限前の場合は法定納期限)の翌日が起算日⇒還付の支払決定日(又は充当日)までの期間となります。
(2)還付加算金がつかない場合・いくらから?
還付加算金はいくらから?という基準はありませんが、下記「切り捨て」の規定があります。
還付加算金の計算過程での基準 | 還付金1万円未満の端数は切り捨て |
---|---|
還付加算金計算結果 | 100円未満は切り捨て。1,000円以下の場合は全額切り捨て |
なお、還付加算金起算日(申告期限)よりも前に支払決定を受けた場合は、そもそも還付加算金は還付されません。
8.参照URL
(還付加算金の収入すべき時期)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/03/01.htm
(還付加算金がある場合の課税売上割合の計算)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/17/03.htm
(還付加算金の計算)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/tuusoku/pdf/05.pdf