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Q78【徹底比較】福利厚生費と給与や交際費・社内飲食費との違い?要件は?仕訳例で解説

最終更新日:2023/05/23

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NO78 福利厚生費と給与・交際費の違い

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

 

お仕事をされている従業員のために、「福利厚生費」を支出する場合もありますね。
例えば、慶弔見舞金、歓送迎会・忘年会費用、健康診断費用、残業食事代などです。

ただし、税務上、こういった「福利厚生費」は、無制限に「損金」として認められるわけではありません
福利厚生費として損金処理を行うためには、「一定の要件」を満たす必要があります。
要件を満たさない場合は、「給与」あるいは「交際費」と取り扱われます。

そこで今回は、「福利厚生費」と周辺の科目である「給与」及び「交際費」との違いにつき解説します。
実務上は・・非常に判断が難しい論点です。

 

1.福利厚生費とは

福利厚生費とは、従業員に対する「福利厚生」を目的とした支出です。
給与以外の報酬であり、大きく、以下の2種類となります。
 

(1)法定福利費

法定福利費とは、社会保険(健康保険・厚生年金保険等)、あるいは労働保険(労災保険・雇用保険等)の「事業主負担額」のことです。法律で規定が明確に定められている「福利厚生費」をさします。
 

(2)福利厚生費(法定外福利費)

従業員に対する「福利厚生」を目的とした支出で、上記の「法定福利費」以外は、単に福利厚生費(法定外福利費)と呼ばれます。例えば、食事補助、社宅、福利厚生施設、社員旅行、お菓子やお水などは「福利厚生費」です。
ただし、法律で明確に定められている「法定福利費」と異なり、企業独自の内容のものですので、税務上は「福利厚生費」として損金計上するための「一定の要件」を定めています。

全従業員を対象(特定の従業員に対する支出は×)
社会通念上妥当な金額

2.福利厚生費と給与の違い

(1)福利厚生費と給与の違い

従業員に対する支出であり、どちらも「損金」になる点は共通していますが、支出目的や、個人側の所得税課税、社会保険料の課税対象となるかという点で、大きく異なります。
なお、要件を満たす「福利厚生費」は、税法上、損金算入限度額の上限は特にありません

福利厚生費給与
内容従業員の福利厚生を目的にしたもの労働の対価としての給付
損金可否損金損金
個人所得税非課税課税(源泉徴収必要)
社会保険料非課税課税

つまり・・福利厚生費の場合、「所得税非課税」「社会保険非課税」となるため、個人にとっても法人にとってもお得ということになりますね。

 

(2)福利厚生費となるもの・給与となるもの

「福利厚生費」となるものと「給与」となるものを比較すると、以下の通りとなります。
ただし、福利厚生費は、すべて「一定の要件」を満たす必要があります。
それぞれの制度で「福利厚生費」となる要件は、各リンク先URLをご参照ください。
要件を満たさない場合は、「給与」となります。

福利厚生費給与
社員旅行
食事代負担
健康診断費用
社宅
通勤手当
結婚・出産祝
永年勤続者記念
●忘年会等社内行事、お茶やお菓子など
●給与・賞与
●家族手当、住宅手当、食事手当等の各種手当(通勤交通費は除く)
商品券・クオカード等

なお、「通勤交通費」は、所得税上非課税とはなりますが、人件費的な意味合いが強いため、勘定科目は「福利厚生費」ではなく、「通勤交通費」で別建処理することが多いです。
 

3.福利厚生費と交際費の違い

(1)福利厚生費と交際費の違い

福利厚生費は、従業員に対する「福利厚生」を目的とした支出です。
一方、交際費は、接待、慰安等を目的とした支出ですが、社外の方(得意先・仕入先)への支出だけでなく、社内従業員を対象とした場合も「交際費」に含まれます。(租措法第61条の4第4項・第61条の4(1)-22)。

福利厚生費は「全額損金」になりますが、交際費の場合は「損金算入限度額」があります。
したがって、実務上は、「福利厚生費」と「社内交際費」の区分も重要となります。
例えば、社内の従業員だけで行った飲み会は福利厚生費なのか、社内交際費なのか・・実務上は難しい判断です。

福利厚生費交際費
損金の可否損金一部損金不算入
(2) 福利厚生費となるもの・交際費となるもの

社内の方のみでの「飲食代」は、原則として「交際費課税の対象」となりますが、「一定要件」を満たす場合は、「福利厚生費」処理が可能です(措法61の4(1)-10)。

(要件)

社内行事等のために、概ね従業員一律に支出(特定の従業員に対する支出は×)
社会通念上妥当な金額
(3) 具体例
福利厚生費交際費
●社員全員を対象とした忘年会等で通常要する費用
●忘年会等で通常要する景品費用
●部課単位等の忘年会で、会社全体では開催のバラつきがある
●特定の従業員のみが参加する飲み会

なお、業務都合等で「忘年会」に参加できなかった社員がいた場合でも、社員一律に参加できる機会を与えている場合は、「福利厚生費」処理が可能です。
 

4.役員への福利厚生費は?

役員も、法人の「従業員の一人」となりますので、福利厚生費の支払いは可能です。
ただし、従業員がいないオーナー兼一人社長に対する福利厚生費については、給与認定(=役員報酬)される可能性が高いです。

詳しくはQ79をご参照ください。
 

5.福利厚生費の消費税上の取扱い

内容消費税上の取扱い
健康診断・人間ドックなど課税
忘年会費用など課税
慶弔費等の贈答不課税
社会保険料非課税

6.仕訳例

借方貸方
従業員への結婚祝を支払福利厚生費(不)50,000現金50,000
従業員へ商品券をプレゼント給与(不)50,000現金50,000
残業用パン代を購入福利厚生費(課)
仮払消費税
45,455
4,545
現金50,000
食事手当の支給給与(不)50,000現金50,000
通勤手当の支給通勤交通費(課)
仮払消費税
45,455
4,545
現金50,000
全員参加の忘年会費用支払福利厚生費(課)
仮払消費税
45,455
4,545
現金50,000
社内の一部だけで行く飲み会交際費(課)
仮払消費税
45,455
4,545
現金50,000
会議用お茶、お菓子の購入会議費(課)
仮払消費税
45,455
4,545
現金50,000

なお、社内飲食費については、交際費課税の対象から外れる5,000円基準の適用はありません。
 

7.参照URL

(交際費と福利厚生費の区分)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261.htm

(交際費等の範囲)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
 

8. YouTube

 
YouTubeで分かる「福利厚生費と給与や交際費・社内飲食費との違い」
 

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