税金の豆知識
Q93【16歳未満扶養親族】扶養控除や住民税非課税限度額との関係は?/扶養控除等申告書に記載する意味は?
最終更新日:2022/02/01290792view
毎年、10月ごろに勤務先から「扶養控除等申告書」が配られると思います。
この「扶養控除等申告書」の一番下に「住民税に関する事項 16歳未満の扶養親族」という欄があります。
ここに「16歳未満のお子様」の情報を記載すると、どういった効果があるのでしょうか?
16歳未満の扶養親族は、「年少扶養親族」と呼ばれています。
今回は、「年少扶養親族」と、「住民税」の関係をまとめます。
目次
1. 16歳未満の扶養親族は「扶養控除」できない
「扶養親族」については、所得税、住民税とも「扶養控除」という所得控除があり、扶養親族の数に応じて、所得税・住民税とも税金が安くなります( 扶養控除額 所得税38万円/人、住民税33万円/人)。
サラリーマンの方であれば、「扶養控除等申告書」に記載することで、年末調整により「所得税」が還付されます。
しかしながら、「扶養親族」のうち16歳未満の「年少扶養親族」は、所得税、住民税とも「扶養控除」ができません。(H22年子供手当が創設された関係)。
では・・なぜ「扶養控除等申告書」に、16歳未満の扶養親族を記載する「欄」が設けられているのでしょうか?
2.住民税の「非課税限度額」に関係する!
住民税上、扶養控除と全く別の制度として「住民税の非課税限度額」という制度があります。
所得が一定の「非課税限度額」に収まる場合は、住民税が課税されません。
実は・・この「住民税非課税限度額」の計算上、16歳未満の扶養親族が関係してくることになります。
3.住民税の非課税限度額とは?
(1)住民税非課税限度額の種類
住民税は、①所得割と②均等割の2種類合計で算定され、「住民税の非課税限度額」は、全額課税されない場合と「所得割」だけ課税されない場合(=均等割のみ支払)の2パターンがあります。
詳しくは、Q94をご参照ください。
(2) 非課税限度額
本人+同一生計配偶者、扶養親族の数に応じて「非課税限度額」が認められています。
「合計所得金額」が「非課税限度額」以内であれば課税されません。
例えば、住民税が全額課税されない「非課税限度額」は、以下の計算式で算定されます。
(生活扶助の方、障害者・未成年者・寡婦・ひとり親の方は、下記と別の「非課税限度額」が定められています)
非課税限度額 = 35万円×(本人 + 同一生計配偶者 + 扶養親族数)+ 10万円 + 21万円(※)
(※)21万円は「同一生計配偶者」又は「扶養親族」がいる場合のみ加算します。
なお、上記式中の「10万円」は、令和2年より「給与所得控除」が10万円引き下げられた関係で、住民税非課税枠の調整計算として加算される額となります。
具体例 | 非課税限度額 | 計算 |
---|---|---|
本人のみ | 45万円 | 35万円×1人+10万円 |
本人+同一生計配偶者 | 101万円 | 35万円×2人+10万円+21万円 |
本人+同一生計配偶者+扶養親族1人 | 136万円 | 35万円×3人+10万円+21万円 |
同一生計配偶者とは? | 本人と生計を一にする配偶者で、年間合計所得が48万円(給与収入換算103万円)以下の方(納税者本人の所得制限はなし) |
---|---|
扶養親族とは? | 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)等で、年間合計所得が48万円(給与収入換算103万円)以下で、生計を一にしている方。16歳未満の子供も含みます。 |
4. 住民税上の「年少扶養親族」の取扱い
(1)非課税限度額における取扱い
上記の「住民税非課税限度額」を計算する際に登場する「扶養親族」には、16歳未満の「年少扶養親族」を含めることができます。つまり16歳未満のお子様は、所得から差し引く「扶養控除」はできませんが、住民税の「非課税限度額」を算定する際の「扶養親族」としては加算できることになります。
したがって、16歳未満の扶養親族がいる場合は「住民税非課税限度額」の上限が増えます。
(2)扶養控除は不可
最初にお伝えした通り、年少扶養親族(16歳未満の扶養親族)は、所得税・住民税上は「扶養控除」はできません。あくまで、住民税の「非課税限度額」の制度は、単に「所得の額が00円以下の場合は、住民税がかからない」という制度であり、「所得税・住民税」における「扶養控除」とは全く別の制度です。
したがって、住民税の計算上、「非課税限度額」を、所得から差し引けるわけではありませんので、注意しましょう。
(2)家族構成ごとの具体例
家族構成ごとに、「住民税全額非課税」と、住民税上の「扶養控除額」をまとめます。
家族構成 | 住民税 非課税限度額 | 住民税 扶養控除額 | 非課税限度額の計算 | |
---|---|---|---|---|
① | 本人のみ | 45万円 | 0円 | 35万×1人+10万 =45万円 |
② | 本人+子供(18歳) | 101万円 | 33万円 | 35万×2人+10万+21万 =101万円 |
③ | 本人+子供(18歳)+子供(10歳) | 136万円 | 33万円 | 35万×3人+10万+21万 =136万円 |
④ | 本人+子供(18歳)+子供(10歳)+子供(2歳) | 171万円 | 33万円 | 35万×4人+10万+21万 =171万円 |
上記のポイントをまとめると以下の通りです。
● | 住民税上の「扶養控除」の人数には、16歳未満の扶養親族はカウントできない。したがって、上記②~④すべて、住民税上の扶養控除の額は33万円/人ですべて同じ金額となる。 |
---|---|
● | 一方、住民税上の「非課税限度額」の人数には16歳未満の扶養親族はカウントできる。したがって、①⇒④と扶養親族が増えれば増えるほど、住民税上の「非課税限度額」は増えることになる。 |
● | 非課税限度額は、本人だけの場合は少ないが、配偶者や扶養親族が1人でもいれば、固定額(21万)が加算されるため、インパクトは大きい。 |
「住民税非課税限度額」を活用することで、例えば「16歳未満の扶養親族」を、収入の少ない奥様側の扶養に入れることで、住民税が安くできる場合があります。詳しくは、Q94を参照下さい。
5.結論
「16歳未満の扶養親族」がいる場合は、「扶養控除等申告書」に記載しておかないと、住民税が「非課税」となるにもかかわらず課税されてしまう可能性がありますので、もれなく記載しましょう!
なお、サラリーマンではなく、自営業等「確定申告」を行う方の場合は、第二表「住民税・事業税に関する事項」の欄に「16歳未満の扶養親族」を記載します。
6. YouTube
YouTubeで分かる「扶養控除や住民税非課税限度額との関係は?」
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