税金の豆知識
Q115【住宅ローン特別控除】取得対価より借入金が多い場合は?取得対価に含まれるもの
最終更新日:2022/02/0383104view
「住宅ローン控除」って、聞いたことありますよね?
住宅ローンをお持ちの方で、「一定要件」を満たす場合、所得税を安くしてくれる制度です。税額から直接控除してくれる制度ですので、他の所得控除と比べても、税金軽減額が大きい特典です。
今回は、この住宅ローン控除と、「マイホームの取得対価」との関係をまとめます。
目次
1.住宅ローン特別控除って?
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、「一定要件」を満たすと、各年分の所得税額から「税額控除」ができる制度です。
2.税額控除額
● 住宅ローン残高をもとに計算します。(年度によって、率や上限額は異なります)
● 住宅ローン金額「全額」ではなく、「マイホームの取得対価」が上限となります。
(例)住宅ローン5,000万円・マイホーム取得対価が3,000万円の場合
⇒住宅ローン控除限度額は、3,000万円が上限となります。
なので・・「マイホームの取得対価の額」は、意外と重要なポイントですよ!
3.マイホームの取得等の対価は税込判定?
取得対価の金額は、消費税込みの対価で判定します。
4.マイホームの取得等の対価に含まれるもの
実務上、迷いやすいものを以下にまとめます。
内容 | 可否 | 摘要 |
---|---|---|
建物付属設備は? | 〇 | 家屋と一体で取得した付属設備(電気設備、給排水設備、ガス設備等)は、マイホームの取得等の対価の額に含まれます。増改築等工事の場合も、家屋と一体となって効用を果たすものは含まれます。 |
構築物や器具備品は? | × | 構築物(門や塀、車庫等)や、器具備品などは、原則、マイホームの取得等の対価の額には含まれません。(家屋等と合わせて同一者から取得&金額僅少な場合は、例外的に含めてOK) |
設計料は? | 〇 | 例えば、建築業者以外の建築士などに支払う設計料などは、取得対価に含めてよいことになっています。 (実際建築した家屋に対応するもののみ) |
マンション共用部分の購入価額は? | 〇 | 共用部分のうち、持分に対応する部分は、家屋等の取得対価の額に含まれます。 |
敷地の造成・改良等費用 | 〇 | (取得の対価としてよいもの) ● 埋立て、土盛り、切土・地ならし等、土地の造成や改良のための費用 ● 土地等と一括で取得した建物等の取壊費用(取得後おおむね1 年内に建物取壊に着手するなど、一定の場合のみ) |
植木・芝生・花壇庭園等 | × | 植木や芝生、花壇庭園等の取得対価の額は、原則、マイホームの取得等の対価の額には含まれません(家屋等と合わせて同一者から取得&金額僅少な場合は、例外的に含めてOK)。 |
仲介手数料・登録免許税・不動産取得税等 | × | マイホームの取得等に伴って支出した仲介手数料や登録免許税・不動産取得税は、マイホームの取得等の対価の額には含まれません(マイホームの取得等のために直接要した費用とはいえないので)。 |
なお、共有で取得した場合は、家屋全体の取得対価×持分割合で、各持分の取得対価を計算します。
5.ご参考~譲渡時の「取得費」との関係~
将来、マイホームを譲渡する場合には、譲渡に対応する「所得税」を算定しますが、この、譲渡所得税を算定する際に集計する「取得費」と、住宅ローン控除時の「マイホームの取得の対価」は、対象範囲が異なりますので、注意しましょう。
(例)
譲渡所得算定時の「取得費」 | マイホームの取得等の対価 | |
---|---|---|
マイホーム取得時の付随費用 (仲介手数料・税金など) | 含まれる | 含まれない |
例えば、取得時の付随費用(仲介手数料や税金など)は、譲渡所得算定時の「取得費」に含めて集計できますが、「マイホームの取得等の対価」には含まれません。
(通常、譲渡所得算定時の「取得費」は、多ければ多いほど税額は安くなります)。
ですので、取得時に支払った手数料等の「領収書」は、住宅ローン控除の際は関係ありませんが、将来譲渡する場合は利用しますので、必ず捨てずに置いておきましょう!
6.家屋の敷地の用って?
住宅ローン控除ができる「土地」は、「家屋の敷地の用に供されている土地」である必要があります。基本的には、「居住用用途の土地」というイメージです。
「家屋の敷地の用に供されている土地等」に含まれないもので、実務上迷いやすいものは以下の通りです。
可否 | 摘要 | |
---|---|---|
居住用以外の用途に供されている敷地 (プール・私道など) | × | ● 居住用以外の用途とは、例えば、事業用の部分(店舗併用住宅の店舗や、プール・テニスコート)などです。私道であっても、実際、居住するために必要な私道は「居住用面積」に含まれます。 ● 居住用部分がおおむね90%以上の場合は、全額「居住用部分」と扱ってOK |
増改築に伴って取得した土地 | × | 増改築で取得した土地は、居住用家屋の取得(新築or中古)に伴って取得したものではないため、含まれません。 |
ゴミ置き場 | × | ただし、家屋そのものの敷地と併せて、同一の者から取得した場合はOK。 |
駐車スペース | × | ただし、家屋そのものの敷地と同一敷地である場合はOK。 |
7.YouTube
YouTubeで分かる「住宅ローン特別控除の取得対価より借入金が多い場合」