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Q138【商品券とは?】アマゾンギフト券購入・利用時の会計処理や消費税の取扱いは?もらった側の仕訳は?

最終更新日:2022/02/03

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Q138 商品券購入・利用時の会計処理/税務処理

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

仕事上、「商品券」を購入する場合はありませんか?
例えば、「販売促進用」や、従業員の「お祝い用」など、商品券を活用する機会は多いかもしれませんね。

この商品券の処理・・税務上は、いろんなパターンがあって論点がいろいろあります。
今回は、「商品券」を購入した側の、購入時・利用時の税務処理についてまとめます。

 

1. 商品券とは?具体例

アマゾンギフト券やクオカード、図書券、旅行券、ビール券など、何らかの商品と換金できる価値のあるものです。税務上は、物品切手と呼ばれています。
 

 

2. 商品券購入時の会計処理

(1)法人税・消費税上の取扱い

商品券購入時のレシートには「非課税」「対象外」などと記載されていると思います。商品券の購入行為は、単なる「貨幣価値があるもの」との交換に過ぎませんので、原則として購入時に「費用・課税仕入」にはできません。
(例外 自社利用の場合のみ、消費税上「購入時課税仕入」処理OK)。

 

(2) 勘定科目は

購入時は、原則「経費・課税仕入」とならないため、「貯蔵品」等の資産科目で計上することが考えられます。

ただし、実務上は、購入時に直接利用予定の「費用」勘定科目で処理を行い、決算期末に、未利用の商品券につき「税込」で「貯蔵品」等の資産科目に振り替えるのが便利です。詳しくは、下記4.仕訳例をご参照ください。
 

3. 商品券利用時の会計処理

利用目的によって、科目や、消費税の取扱いが異なりますので、注意しましょう。

勘定科目消費税の取り扱い
自社で利用する場合消耗品費など
(利用科目)
「課税仕入」
得意先に渡す場合交際費 ① お礼、お中元として渡す場合 ⇒「不課税」(対価性なし)
② 謝礼、手数料等として渡す場合 ⇒「課税仕入」(対価性あり)
不特定多数の
一般消費者等に販促用として
配布する場合
交際費(※) 「不課税」(対価性なし)
広告宣伝費と販売促進費の違いについては、Q29をご参照ください。
従業員に支給した場合「給与」 「不課税」

(※)一般消費者に商品券を配布した場合、国税庁上、「広告宣伝費として例示」されている以下のケースに該当する場合は、広告宣伝費として「課税仕入」で計上できる可能性はあります。

●製造業者や卸売業者が金品引換券付販売に伴い、一般消費者に対し金品を交付するために要する費用
●製造業者や卸売業者が自社製品等を試用あるいは、アンケート等に協力した一般消費者に対しその謝礼として金員を交付するための費用
●小売業者が商品の購入をした一般消費者に対し景品を交付するために要する費用

 

4. 仕訳例

借方貸方
自社利用目的で、商品券400,000円購入
(※1)
消耗品費(課仕)
仮払消費税
363,636
36,364
現金400,000
200,000円を、消耗品購入時に利用仕訳なし
期末未利用分200,000円を貯蔵品振替
(※2)
貯蔵品(税込)200,000消耗品費(課仕)
仮払消費税
181,818
18,182
翌期首戻入仕訳消耗品費(課仕)
仮払消費税
181,818
18,182
貯蔵品200,000
100,000円を、消耗品購入時に利用仕訳なし
得意先お中元・従業員お祝いとして
商品券50,000円ずつ利用
交際費(不)
給料(不)
50,000
50,000
消耗品費(課仕)
仮払消費税
90,909
9,091

(※1)商品券は、購入時損金処理はできませんが、実務上は、購入時に利用予定の「費用科目」で処理を行い、期末に、未利用分を「貯蔵品」等の資産科目に振り替えます。

(※2)期末未利用分は、税込額で貯蔵品(資産)に振り替える方法が便利です。
なお、自社利用商品券の場合は、購入時に「消費税課税仕入処理」も可能ですが、法人税処理との整合性を考えて、利用時損金、課税仕入処理で統一する会計処理を例示しています。

 

5. もらった側の仕訳は?

商品券をもらった側は、贈与があったときの時価=券面額で雑収入(不課税)で受入仕訳を行います。
借方科目は「利用目的」に応じて、科目を選択します。

例えば、上記4.の「お中元」として商品券100,000円を「受け取った側」の仕訳は以下の通りとなります。
(自社利用「消耗品購入用」を前提とします)

借方貸方
商品券もらったとき消耗品費(課仕)
仮払消費税
90,910
9,090
雑収入(不)100,000
利用時仕訳なし

期末未利用分がある場合は、それ以降は、上記4と同じ仕訳となります。
 

なお、受け取る側が「従業員」の場合は、原則「所得税課税」となりますが、例外的に、結婚祝い・出産祝いに関しては、現金や商品券等を渡す場合でも、その金額が「社会通念上相当」と認められるものは、「福利厚生費」(不課税)となります(所基通28-5)Q103をご参照ください。
 

6. ご参考 商品券を割引後の価格で購入した場合

例えば、金券ショップなどで2%オフなどで購入した場合の処理はどうでしょうか?
この場合、考え方としては、値引きではなく、金券ショップから受けた「経済的利益」と考え、券面額で受入処理を行い、現金支払額との差額は「雑収入(不課税)」で仕訳を行うものと思われます。
考え方はQ86「共通ポイント制度を利用する場合」をご参照ください。
 

● 金券ショップで、自社利用用として、商品券を49,000円(券面額50,000円)で購入した。
● 期末時点で、上記商品券は未利用である。

借方貸方
商品券購入時消耗品費(課仕)
仮払消費税
45,455
4,545
現金
雑収入(不)
49,000
1,000
利用時仕訳なし

期末未利用分がある場合は、それ以降は、上記4と同じ仕訳となります。
 

7. 税務調査

商品券に関する税務処理については、「税務調査」でよくチェックされる項目です。
商品券の購入や利用が、業務と関連性があるか?(=個人的な支出ではないか?)という観点で、「経費性自体が否認」されるケースもあります。
 

配布金額・配布先・配布日時などを記載した「管理台帳」を作成しておき、利用使途や、誰に渡したか?を後から説明できるようにしておくことが必要です。

 

8. 参照URL

(寄附金や交際費の取扱い)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6463.htm

(雇用契約等に基づいて支給される結婚祝金品等)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/03.htm

9. YouTube

 

YouTubeで分かる「商品券購入・利用時の会計処理」
 

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