税金の豆知識
Q163【徹底解説】紹介手数料は交際費課税される?支払手数料にできる要件は?/源泉徴収は必要?
最終更新日:2022/02/0392540view
ビジネスを進める中で、顧客や知り合いに「紹介手数料」や「謝礼」をお支払いする場面もあると思います。
「不動産業界」や「保険業界」などでは、日常的に行われているかもしれません。
こういった「紹介手数料」を支払った場合、全額経費として損金にできるのでしょうか?
全額損金にできるのなら、決算間際に、利益圧縮を目的として手数料を支払う場合もあるかもしれませんね。
そこで、税法上は、「損金」になるための要件を定めています。
目次
1. 紹介を業とする法人・個人への支払(紹介業者等)
紹介・仲介・情報提供業者(会社・個人)に対して支払った手数料は、全額「支払手数料」として損金になります。
例えば、不動産仲介業者などへの紹介手数料は、全額「支払手数料」として損金となります。
2. 紹介業者ではない法人・個人への支払
(1) 原則 交際費
紹介業者等ではない法人・個人に支払った紹介手数料は、原則「交際費」となり、損金算入額が制限されます。
交際費認定されると、原則800万円以上の金額は損金算入できません。
特に、個人や、資本関係のある同族会社などに支払った「紹介手数料」などは、税務調査で「交際費認定」される可能性が高くなります。
(2) 交際費にならない場合
例外的に、全額「損金」にできる場合が「国税庁」で定められています。
以下の要件すべてを満たす場合は、交際費に該当せず、全額「支払手数料」として損金算入が可能です。
① あらかじめ締結された契約に基づくものであること
② 情報提供等の内容が契約書において具体的に明らかにされている
③ 情報提供の対価として相当であること
3. 消費税・源泉所得税の取扱い
(1) 消費税
「紹介手数料」は、交際費・支払手数料どちらであっても、「役務提供の対価」ですので、消費税課税取引となります。
ただし、単なる「謝礼的」なもので対価性がない場合は「不課税」と判定される可能性もありますので、注意しましょう。
(2) 源泉所得税
所得税法上、源泉徴収すべき取引は限定列挙されています(所204)。
しかし、情報提供等業務については、列挙されていませんので、結論、源泉徴収の必要はありません。
4. 実務上の判断基準
紹介手数料の支払いを、口頭やメールだけで終わらせてしまう場合、交際費認定されるケースは非常に多いです。
しかし、個別に契約書がなくても、「紹介料等の支払基準」などが明確であれば、合理的に説明できる場合も存在します。
ポイントは以下です。
(1) 支払基準が明確で、客観的に公表されているか?
例えば、紹介キャンペーンなど、チラシやポスター、DMなどで手数料が明確に記載されている場合は、支払基準が明確ですので、合理的に説明できる可能性はあります。こういった資料は、確実に残しておくことをお勧めします。
一方、支払う相手によって金額が異なる場合は、合理的な説明はできません。
(2) 内容が明確であるか?
どういった内容に基づく紹介手数料の支払いなのか?が書類などで明らかな場合や、手数料に対応する「紹介新規契約」の事実なども、合理性を説明できる根拠となります。
(3) 支払先は明確か?
使途不明金と認定されないよう、支払は振込の方がよいですし、支払先住所や電話番号が記載された領収書は、必ず残しておくことが必要です。
5. 受け取った側の会計処理
金銭を受け取った場合の会計処理は以下の通りとなります。
(1) 法人の場合
仲介・紹介業を営んでいる法人 | 売上 |
---|---|
上記以外 | 雑収入 |
(2) 個人の場合
仲介・紹介業を営んでいる個人 | 事業所得 |
---|---|
上記以外 | 雑所得 |
紹介手数料は、一時所得ではなく、雑所得になりますので、50万円以下でも申告が必要となります。なお、会社員で給与所得以外に収入がない場合、紹介料等(経費差引後)が年間20万円までなら「所得税確定申告」は不要になります。
6. 謝礼として支払う場合
紹介手数料と似ていますが、謝礼として金員を渡す場合もあります。
謝礼の場合は、交際費の論点だけでなく、源泉徴収の論点もあります。
詳しくはQ143を参照ください。
7. 参照URL
情報提供料等と交際費等との区分(租措法61の4(1)-8)
http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
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