税金の豆知識
Q166 一般社団法人等の収入源と補助金・助成金の種類
最終更新日:2022/02/0328185view
民間企業と同様、一般社団法人やNPO法人等も、組織として活動するためには「一定の資金」が必要となります。
そこで今回は、一般社団法人等を運営していく際の「収入源」や「助成金・補助金」の種類をまとめます。
目次
1. 収入源
(1) 会費
一般社団法人等は「会費制」を採用している法人が多いです。毎月、自社の活動に賛同する方から、会費等を募って収入源とします。会費は安定した収入源になるとともに、使途の自由度が高い収入となります。
(2) 寄付金
会費同様、活動に賛同する方から受ける寄付です。ただし、会費と異なり、一般的には「継続性」はありません。
また、一定の「活動などが指定された寄附金」の場合は、使途が限定されます。
(3) 事業収入
社団法人だからといって、営利目的の活動ができないわけではありません。
民間企業と同じく、「物の販売やサービスの対価」として得る収入が「事業収入」となります。
法人としての目的を達成するためには、これらの活動も大切となります。
ただし、これらの事業収入の多くは「収益事業」となりますので、税金の課税対象となります。
(4) 借入金・投資
金融機関やファンド等からの資金です。
最近は、NPO法人等を対象にした融資の仕組みも徐々に出来つつありますが、一般の金融機関等からの借入金は、民間の会社と比べると、一般的にハードルが高いと言われています。
2. 助成金・補助金
助成金・補助金も収入源の1つとなりますが、すべて一定の審査がありますので、確実性はありません。
あまりこれに期待すると、運営を失敗するリスクがあります。
(1) 種類
① 助成金(雇用関係助成金)
一般社団法人等は、利益を得ることを目的としない法人ですが、活動を維持するために、従業員を雇って「給料」を支払うことは可能です。給料は民間企業と同様、「雇用保険適用対象」となりますので、「雇用関係助成金」の給付も可能です。
「雇用関係助成金」は、雇用環境や労働条件に関して「一定の基準」を満たせば、支給が受けられることが多いです。
② 補助金
上記①の「助成金」は、主に「雇用関係」に対して助成されるものですが、「補助金」は、「ある一定分野で要件を満たした」場合に、公募で応募するものです。分野や種類は多岐にわたります。補助金の募集一覧は、下記のサイトで紹介されています。
「CANPAN FIELDS」 https://fields.canpan.info/grant/
(2) 補助金受給のための取り組み
① 補助金支給の目的と活動内容の整合性
補助金は、各分野に対して支給されるものですので、例えば、「社会教育の推進を図る活動に対する補助金」であれば、社会教育の推進活動をしている法人でなければ受け取ることはできません。まずは、その補助金の募集要項を確認し、自社の法人活動と整合する補助金かどうか?を選別することが大切となります。
② 自社の特異性
補助金は「国の予算」の制約があります。たとえ補助金の目的と自社の活動内容が整合していたとしても、他の社団法人等との競争があります。
他と比較による優位性、例えば、自社の活動が他社よりも革新的で、業界にどんな成果をもたらすのか?などの根拠づけができれば、可能性は高まります。
③ 一定の活動実績
補助金の支給要件として、「活動実績」が要求されるものが多いです。
法人としての活動期間の長さ、実績がある法人の方が、支給される可能性は高くなります。補助金支給後には「活動報告書」を提出することが多いですが、この「活動報告書」の内容も、来年以降の補助金受給の角度を高める一つの判断材料となります。
(3) 最近の補助金動向
最近は、社団法人等の総数は増加する一方、補助金の基金総額は頭打ちの状態となっています。つまり、法人同士の競争が激しく、補助金を奪い合う状態ですので、現実的には、補助金支給の確率は低くなっているようです。
3. まとめ
社団法人等は「社会貢献」というイメージから、会費や寄付金は「民間企業」よりも集めやすいと思います。しかし、これだけでは活動は成り立ちませんので、その他の事業で、安定的な事業収入を稼ぐ能力が必要となります。
一般的に、社団法人等は「事業収入」が弱い法人が多いといわれています。社団法人存続の可否は「事業収入をいかに効率的に確保できるか?」にかかってくる、といっても過言ではありません。
一方、「補助金」は競争が激しく、確実性という観点を考えると、期待しすぎることはよくありません。補助金に頼らず、「その他の収入源」をしっかり確保するとともに「バランスの良い収入構成」にしておくことが大切です。
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