税金の豆知識
Q179 介護保険サービスに消費税は課税されるのか?範囲は?
最終更新日:2022/02/0313735view
「商品」や「サービスの提供」には、原則として消費税が課税されます。しかし、社会政策的な配慮から「介護保険サービス・社会福祉事業」については、消費税非課税とされています。今回は、消費税が非課税となる「介護保険サービス・社会福祉事業」の対象範囲についてまとめます。
目次
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1. 介護保険サービスは原則非課税
介護保険サービスは、「社会政策的な配慮」より、ほとんどの取引が「消費税非課税」取引となります。
(1) 居宅介護サービス(非課税)
「指定居宅サービス事業者(介護保険法41条Ⅰ)により行われる「居宅介護サービス」は、原則として「消費税非課税」とされています。
(消費税法別表一七イ、消令14の2)
訪問介護サービス | 訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導 |
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通所サービス(デイサービス)(※) | 通所介護・通所リハビリテーション・短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ) |
特定施設に入居している場合 | 介護保険認定を受けた特定施設(有料老人ホーム・養護老人ホーム・ケアハウス・適合高専賃など)で受ける生活介護。 |
(※)時間延長による「追加発生負担額」も非課税
(2) 施設介護サービス(非課税)
要介護認定を受けた人が、下記施設で受ける施設介護サービスは「消費税非課税」となります。
介護福祉施設サービス | 特別養護老人ホーム |
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介護保健施設サービス | 介護老人保健施設 |
介護療養施設サービス | 介護療養型医療施設 |
2. 具体的な消費税の判定
上記のとおり、「介護保険サービス」は、原則として消費税非課税となりますが、例外的に消費税が課税される取引もあります。以下それぞれをまとめます。
(1) 消費税非課税となる取引
消費税非課税となる取引は「居宅介護サービス費の支給にかかる居宅サービス」(消基通6-7-2 )に規定されています。消費税上は、「日常生活費用」のほとんどが消費税非課税となります。例えば、介護保険適用外の居住費やおむつ代、理美容代、食材費なども含まれます。なお、これらの日常費用は、介護保険の支給給付外(全額利用者負担)となります。
(留意事項)
介護保険給付有無などは関係なし | 消費税の課税非課税の判定は、介護サービス内容で決まるため、介護保険給付の有無、月間利用可能単位数超過の有無等は全く関係ありません(厚生労働省「介護保険法の施行に伴う消費税の取扱について」参照)。 |
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介護保険適用の 要介護者向けサービスが対象 | あくまで、介護保険が適用される「要介護者」向けのサービスが対象となります。例えば、医療保険が適用される患者へのサービス提供は対象外です。 |
居宅介護支援、介護予防支援も非課税 | 居宅介護支援、介護予防支援(ケアプランの作成)は非課税となります。 |
(2) 消費税課税となる取引
以下に該当する場合には「消費税課税」となりますので、注意が必要です。
「利用者の選定」に基づき 特別に提供されるサービス | 特別な介護・食事・部屋・ぜいたく品、送迎・趣味・私物クリーニング代などです。これらは介護保険も適用対象外となります。介護保険内のサービスとの差額分が消費税課税対象となります。 |
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福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修費用 (バリアフリーの設置など | 「消費税非課税となる介護保険にかかる資産の譲渡等」の中に含まれていないため、消費税課税取引となります(介護保険適用範囲であっても)。例外的に、身体障害者用物品については非課税となります。 |
事業区域外の事業者を利用した場合の 交通費や送迎費用 | 介護保険サービスは、事業者のサービス提供区域が決められており、事業区域外の介護サービス事業者を利用した際の交通費や送迎費用は利用者負担、消費税課税となります(介護サービスそのものは非課税)。 |
日常生活の範囲を超えるサービス | 日常生活の範囲を超えるサービスは、介護保険適用対象外、消費税課税取引となります。大掃除・模様替え・利用者の家族に対するものなど |
3. 参照URL
居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス」等の範囲(消基通6-7-2)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/07.htm