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Q221【自動車税精算金】中古車購入時の自動車税・自賠責保険料の会計処理/消費税の取扱い

最終更新日:2024/12/14

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Q221【自動車税精算金】中古車購入時の自動車税・自賠責保険料の会計処理/消費税の取扱い

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

中古車売買の際、「自動車税」や、「自賠責保険料」の日割分を、売主買主間で金銭で精算するケースがあります。

こういった「自動車税等の精算金」は、税務署や保険会社に直接支払うものではなく、売買当事者間でやり取りする税金・保険相当額の支払にすぎません。したがって、車両購入の付随費用として「固定資産で計上」するのか?あるいは、「保険金等の経費」で計上するのか?疑問が生じます。

今回は、中古車売買時に支払われる「自動車税・自賠責保険料精算金」の会計処理や、消費税の取扱いにつき解説します。

 

1. 自動車税・自賠責保険料の納税・支払義務者

(1) 自動車税の納税義務者

車を所有する方には、毎年自動車税が課税されます(県税)。自動車税は、原則として、新車登録時(※) や、毎年4月1日時点の所有者に納税義務が発生します。したがって新車登録or4月2日以降に中古車を購入した場合、買主側は、次の4月1日になるまで「自動車税」の納税義務は発生しません。

(※) 新規登録時は、普通自動車の場合のみ納税義務が発生し、軽自動車の場合は発生しません。
普通自動車の場合は、新規登録時に、登録翌月~翌年3月までの月割分の自動車税を支払います(百円未満の端数切捨て)。

 

(2) 自賠責保険料の支払義務者

自賠責保険料は、新規登録や車検を受ける際、次回の車検までの期間、加入が強制される保険です。自賠責保険料は、新規登録や車検を受ける時点の所有者に支払義務が生じます。したがって、新車登録or車検以降に中古車を購入した場合、買主側は、次の車検になるまで「自賠責保険」の支払義務は発生しません。

なお、自賠責保険は、運転者ではなく、あくまで自動車本体が加入する保険です。したがって、たとえ車を売買する場合でも、保険は消滅せず、所有者名義が変更されます(自動車抹消手続をした時点で、初めて保険は消滅)。

 

2. 自動車税・自賠責精算金の税法上の取扱い

(1) 自動車税・自賠責精算金とは?

自動車税や自賠責保険料は、「一定時点の所有者」に納税・支払義務が生じるため、中古車を売買する場合、買主は、次回の「一定時点」まで、納税・支払義務が生じないことになります。そこで、売主・買主間での資金負担公平性の観点から、中古車売買の際には、売買以後の「未経過期間」に対応する自動車税、自賠責保険相当額を、買主から売主に支払することが一般的です(以下、「自動車税・自賠責保険料精算金」と呼びます)。

 

(2) 税法上の取扱い

「自動車税・自賠責保険料精算金」は、都道府県や保険会社に支払う「自動車税や自賠責保険料」そのものではなく、売主・買主間で授受されるものです。したがって、当該精算金は、税務上、「売買契約の代金の一部」と取り扱われます(消基通10-1-6)。

 

(3) 勘定科目と消費税課税区分

一般的に、所有する車に関して、県税事務所や保険会社に自動車税、自賠責保険料を支払う場合は、経費で計上できます(租税公課or保険料)。消費税は不課税取引となります。

一方、中古車売買時に授受される「自動車税・自賠責保険料精算金」は、税金や保険料そのものではなく、売買代金の一部となりますので、売主側は収入、買主側は固定資産付随費用となり、車両運搬具(資産)として資産で計上します。
消費税区分は、車両本体購入と同様に「課税仕入」と取り扱われます。

 

(4) リサイクル預託金は?

中古車を売買する際には、自動車税・自賠責保険料精算金の他、「リサイクル預託金相当額」も同様に譲渡されます。リサイクル預託金の内容は、「将来の車両廃棄費用の前払金」であり、廃車するまでは損金にできません。したがって、当該預託金相当額の支払額は、「預託金」等の資産で計上します。また、単に「預託された資金」のため、金銭債権の譲渡となり、消費税非課税取引となります(法別表第ニ2、令9 四)

【中古車購入時の勘定科目・消費税区分】

勘定科目消費税課税区分
車両本体、付属品車両課税仕入
自動車税等、自賠責保険料精算金車両(※)課税仕入(※)
リサイクル預託金預託金等非課税

(※)新車購入時や、保有する車両に対して支払う自動車税等は、「租税公課」or「保険料」で計上。
消費税は不課税取引となります。

 

3. 具体例

● 中古車を購入した。本体価格は10,000(税抜)。
● 上記の他、自動車税200、自賠責保険料300、リサイクル預託金100相当額(すべて税抜)を支払った。
● 消費税は税抜処理、簡便的に、自賠責保険料の前払処理は無視する。

中古車購入時の「自動車税・自賠責保険料精算金」は、「売買価額の一部」と取扱われ、車両本体価格と同様に処理します。

借方貸方
車両運搬具(車両本体)(課税)10,000現金11,650
車両運搬具(自動車税)(課税)200
車両運搬具(自賠責)(課税)300
預託金(リサイクル預託金)(不課税)100
仮払消費税 (※)1,050

(※) (10,000+200+300)×0.1=1,050

 

4. ご参考 固定資産税精算金

中古の土地建物を購入する場合、「固定資産税精算金」を支払うケースがあります。
当該「固定資産税精算金」の取扱いも、今回の自動車税や自賠責保険料と同様です。
不動産の取得価額を構成するため、勘定科目は「土地・建物」で計上します。
消費税の取扱いは、「土地」の固定資産税精算金は「非課税取引」、「建物」の固定資産税精算金は「課税取引」となります。

【未経過固定資産税等の取扱い】 国税庁より抜粋

不動産売買の際に、売買当事者の合意に基づき固定資産税・都市計画税の未経過分を買主が分担する場合の当該分担金は、地方公共団体に対して納付すべき固定資産税そのものではなく、私人間で行う利益調整のための金銭の授受であり、不動産の譲渡対価の一部を構成するもの(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭)として課税の対象となります(基通10-1-6)。

 

5. 参照URL

(中古車販売における未経過自動車税等の取扱い)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/41.htm

(未経過固定資産税等の取扱い)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/33.htm

 

6. YouTube

Coming soon

 

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
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