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Q40【経費の範囲は?】個人名義の車両はどこまで経費?個人と法人の違い/仕訳・按分方法

最終更新日:2022/01/28

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Q40個人名義の車両は、経費にできる?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

個人名義の車両は、経費にできる?

個人名義の「車両」をお持ちの方も多いと思います。
こういった「車両関連費用」を経費にすることはできないか?と考えたことはありませんか?
 

これらの支出も、仕事に使用しているのであれば、経費にすることは可能です

 

今回は、個人名義の自家用車を、「個人事業主が利用する場合」と「法人が利用する場合」それぞれで、経費にできる支出の範囲、経費の上限額、計上方法等につき解説します。

 

1.個人事業主の場合

(1) 経費にできる車両関連費用・維持費の範囲は?

車両本体やリース料はもちろん、維持費(ガソリン代、駐車場代、高速代、車検代、保険料、自動車税等)など、車両に関連する費用は、すべてが経費となる対象となります。
 

(2) 経費にできる金額

ただし、対象となる車両関連費用のうち、個人事業主として経費にできる部分は、仕事で利用していると考えられる「事業利用部分」となります。
 

具体的には、「事業利用割合」を算定して、仕事部分に按分した額を経費に計上します。
例えば、駐車場代が毎月2万円で、「事業利用割合」が50%の場合は、単純に1万円が経費となります。
 

(3) 車両本体価格は減価償却

車両本体の購入費用については、支出時に一括経費にすることはできません。
税務上は「法定耐用年数」が決められていますので、耐用年数に応じて数年間で「減価償却」を通じて経費となります。
毎年の減価償却費のうち、事業利用割合部分が、毎年の「経費」となります。
 

なお、車両購入時にはオプション料金、自動車取得税、リサイクル預託金などさまざまな「付随費用」を支払うことになります。
これらのうち、一括経費にできる支出と、減価償却を通じて、数年間で経費にするものを区分しなければいけません。
車両購入時の「具体的な税務処理・仕訳」については、Q56をご参照ください。
 

(4) 事業利用割合の算定方法

「事業利用割合」の算定方法につき、税務上「決められた基準」は特にありません。
逆に言うと・・実態を表す「合理的な根拠」があれば、税務署にも説明が可能です。
例えば、以下のような「算定基準」が考えられます
 

維持費1か月の走行距離のうち、仕事で利用した距離の割合等を算出
車両本体・リース料等週7日のうち、就業日数の割合等を算出

 

あくまで実態に応じた「按分基準」である必要があり、常識的な判断が大切です!
例えば・・家族兼用の車にも関わらず、仕事割合が9割など・・明らかにおかしいと思われる場合は、税務署に否認されるおそれがありますので、注意です。
一般的には、50%程度を経費に計上する場合は、問題にされない場合が多いのも事実です。
 

2.法人の場合

法人は、個人と「人格」が全く別物になりますので、基本的には、「車両名義が法人」の場合や、「法人に使用権がある」場合に、法人側での「経費」が認められます。
したがって、個人名義の車両を「法人側」で経費にするためには、なんらかの「法的構成」が、背景として必要です。
具体的に考えられる方法は、以下の通りです。
 

(1) 車両を法人が買い取る

個人名義の車両を、個人から法人が「買い取れ」ば、車両は法人名義となりますので、車両本体価格は「減価償却」を通じて経費にすることができます。
また、関連の維持費等(駐車場、ガソリン、高速代等)も全額経費計上ができます。
なお、車両を法人が買い取る場合は、名義変更等に手数料がかかったり、陸運局での対応等、少々手間は生じます。

 

(2) 個人から会社が賃借する

個人名義のまま、法人で利用する場合は、個人から法人が「賃借」する形をとります。
あくまで法人は、個人から車両を借りているだけですので、車両価格本体は経費にできませんが、賃料や関連維持費(駐車場、ガソリン、高速代等)については、経費計上が可能です。この場合は、名義変更等の手間は生じません
 

ただし、賃借料を「有料」に設定した場合は、法人側では賃借料を「経費計上」できる一方、個人側で「賃料収入」が発生しますので、場合によっては、個人側で「確定申告の義務」が生じる場合があります。
したがって、実務上は、賃借料を無償とする「使用貸借契約書」を、個人と法人間で締結しているケースが多いかもしれません。

 

なお、法人が「買い取る」場合、「賃借する場合」共通ですが、車両事態を「プライベートでも利用」する場合は、個人事業主同様に問題が生じます。その場合は、個人事業主同様、「法人での事業利用割合」を考慮して「購入価格や賃借料の算定」を行うことで、調整するのが無難かなと思われます。
 

3. 高級車は??どこまでが経費?

一般的に仕事で利用する車であれば、「無難な車」を選択することが多いと思います。
しかし、税務上は、どういった車までが経費にできるという「具体的な基準」があるわけではありません
逆に言うと、「ベンツ」や「ポルシェ」が×・・という基準もありません。
「支出額の妥当性」という論点は、「経営判断」に依拠する場合も多く、税務署も「具体的な反証が難しい」のが・・現実だと思います。
 

ただし・・税務署は、業種や規模ごとの「経費の目安のデータベース」を持っていると考えられ、同業同種の他社との比較で、おかしいのか?適正なのか?という指摘をしてくることも多いです。
 

例えば、売上が1,000万しかないのに、1,500万円の車を購入していたら・・?税務署も・・ちょっとあやしい?と思うでしょう。逆に、外車ディーラーの社長様は、自分の会社の車を「販促用」に利用するケースも想定されます。こういった場合は、「経費」の説明もスムーズかもしれません。
 

これらの判断は、それぞれの置かれた環境によって異なりますので、「常識的な節度ある判断」が大切です。
 

4.YouTube

 

YouTubeで分かる「個人名義車両の経費の範囲」
 

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