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Q229 【収益認識基準改正】ライセンス・知的財産収入(ソフトウェア・フランチャイズ権利金等)にかかる法人税及び消費税上の収入計上時期

最終更新日:2025/02/12

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Q229 【収益認識基準改正】ライセンス・知的財産収入(ソフトウェア・フランチャイズ権利金等)にかかる法人税及び消費税上の収入計上時期

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

ソフトウェアや、フランチャイズノウハウなどの「知的財産」を、一定期間にわたって提供した場合、対価として「ライセンス収入」をもらいます。
当該「ライセンス収入」は、フランチャイズ加盟料など、「契約当初」に代金を収受するものもあれば、「提供期間」に応じて代金を収受するものもあります
したがって、知的財産のライセンス収入を、「一時点」で収益を認識するのか?「一定期間」で期間按分して収益を認識するのか?という点で・・疑問が生じます。
今回は、「知的財産のライセンス収入」に関する税法上の取扱いにつき解説します。
(以下、「収益認識に関する会計基準の適用指針」を「適用指針」と略します)。

 

1. 知的財産とは?

知的財産とは、例えば、①ソフトウェアや技術②動画、音楽等③フランチャイズ④特許権、商標権、著作権などです(適用指針143項)。工業所有権やノウハウの頭金も含まれます(適用指針143項、法基通2-1-30)。こういった知的財産を提供する場合、「ライセンス収入」が発生します。

 

2. 「ライセンス収入」にかかる法人税上の収益認識時期

法人税上の「知的財産のライセンス収入」の収益計上時期は、「収益認識に関する会計基準」を踏襲する形で定められています。

 

(1) 2つの権利に区分され、それぞれの収益認識時期が決められている

付与する「ライセンスの権利」の性質に応じて、以下の2種類に区分されます。それぞれの「権利内容」ごとに、収益認識時期が定められています(適用指針143項、法基通2-1-30)。

権利の種類収益認識時期具体例
知的財産にアクセスする権利の提供
継続的な権利
ライセンス期間にわたり収益計上
(法基通2-2-21の2)
● フランチャイズ契約加盟金
● ソフトウェア(SaaSなど)
知的財産を使用する「権利」の提供
一時の権利)
ライセンスが供与時点で収益計上
(法基通2-1-21の3)
● ソフトウェア(売り切りのもの)
● 特許権、動画等メディアコンテンツ

 

(2) 具体的な区分方法

法人税法上、次の要件すべてを満たす「ライセンス収入」は、「知的財産にアクセスする権利の提供」(上記①)と規定されています(適用指針63、法基通2-1-30)。

知的財産に著しく影響を与える活動か?知的財産に著しく影響を与える活動を、企業(ライセンサー)が行うことが、契約により定められている又は顧客(ライセンシー)により合理的に期待されている。
直接的影響を受けるか?上記の活動により、顧客(ライセンシー)が直接的に影響を受ける。
財又はサービスが 顧客に移転しないか?上記活動の結果として、企業の活動が生じたとしても、財又はサービスが顧客に移転しない。

「知的財産に著しく影響を与える活動」という・・難しい表現となっています。以下、具体的な例で解説します。

 

(3) 「知的財産に著しく影響を与える活動」に該当する例
フランチャイズ契約フランチャイズ契約では、通常、本部が運営サポート、サービス改善等を継続的に行うことになるため、通常、「著しく影響を与える活動」と判定されます。
ソフトウェアソフトウェアの提供でも、例えば、SaaSなどで、クラウドサーバー内のソフトウェアの機能が、顧客ニーズに応じて、提供側において継続的にアップデートされるような場合は、「著しく影響を与える活動」と判定されます。

一方、ソフトウェアであっても、ライセンス期間内で機能のアップデートがないものや、過去の動画等メディアコンテンツを提供するのみの場合などは該当しません。この場合は、「知的財産を使用する権利の提供」(上記(1)②)と判断されます(適用指針 64)。

 

3. 消費税上の取扱い

消費税は、原則として法人税の「収入計上時期」と同じ判断となり、法人税上の収益計上時期と合わせて「課税売上」を認識します(消基通9-6-2)。

 

4. フランチャイズ等の使用料収入は?(知的財産ライセンス供与にかかる売上)

例えば、フランチャイズ契約などでは、当初契約時に収受する「フランチャイズ加盟金」(ライセンス収入)のほか、毎月の売上に応じて「ロイヤリティ」(使用料収入)を受け取るケースがあります。こういった「毎月の売上に応じたロイヤリティ」は、ライセンスに明確に関連するものであるため、取引先の売上高に応じて、役務提供が行われたものと考えます。
したがって、原則として、その金額が確定した日(相手先の売上計上日など)で収入を認識します(法基通2-1-30の4)。ただし、継続適用を要件に、支払日での収入計上も可能です(法基通2-1-30の5)。

 

5. 具体例

● フランチャイズを展開するA社は、フランチャイズ加盟者X社から、加盟金として、契約当初に300万円を受け取った(契約期間5年)。
● A社は、上記のほか、毎月X社から、フランチャイズ事業売上の5%のロイヤリティを収受する。
● A社は、X社を支援するため、運営サポート、サービス改善、価格戦略、顧客分析・価格戦略などの活動を行う。

 

(1) フランチャイズ加盟金300万円の取扱い

フランチャイズ加盟金が、「アクセス権」(継続的な権利)か?使用権(一時の権利)かの判定を行います。

知的財産に著しく影響を与える活動か?通常、X社は、A社の運営サポート(サービス改善、価格戦略、顧客分析・価格戦略等)を合理的に期待していると思われる。
直接的影響か?X社は、上記のA社の活動の影響を、直接的に受けるものと考えられる。
財又はサービスが 顧客に移転しないか?たとえ、A社が運営サポート等を実行したとしても、財又はサービスはX社に移転しない。

3つの要件すべてを満たすため、契約当初のフランチャイズ加盟金は、「知的財産にアクセスする権利」(継続的な権利)の提供となります。したがって、X社の「フランチャイズ加盟金収入」については、フライチャイズ期間(契約期間5年)に応じて、期間按分で収入を計上します(法基通2-1-21の2)。

 

(2) 毎月の売上に応じたロイヤリティ5%の取扱い

毎月の売上高に応じたロイヤリティは、加盟者Xの売上計上日、あるいは支払日の属する事業年度に収入計上を行います(法基通2-1-30の4、5)。

 

6. 参照URL

(法基通達2-1-30 知的財産のライセンスの供与に係る収益の帰属の時期)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180530/pdf/%EF%BC%92%EF%BC%A7.pdf

(法基通達2-1-30の4 (知的財産のライセンスの供与に係る売上高等に基づく使用料に係る収益の帰属の 時期)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180530/pdf/%EF%BC%92%EF%BC%AA.pdf

(法基通達2-1-30の5 工業所有権等の使用料の帰属の時期)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180530/pdf/%EF%BC%92%EF%BC%AB.pdf

(日本公認会計士協会 収益認識の基本論点Q&A 論点14)

https://jicpa.or.jp/specialized_field/0-11-0-0n-20201009.pdf

 

7. YouTube

Coming soon

 

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

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近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
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