税金の豆知識
Q51【修正申告・更正の請求】確定申告を間違えたときの訂正方法/期限前訂正申告・期限後申告/少額はばれないのか?
最終更新日:2024/03/0115522view
確定申告書を提出した後に、「申告内容」の間違いに気づく場合もあるかもしれません。
例えば、経費を計上しすぎていた場合や、各種の所得控除等を反映できていなかった場合などです。
こういった場合、正しい税額の計算が行われていないため、後日、申告書を再提出する必要があります。
ただし、訂正する時期が、申告期限前の場合と申告期限後の場合で、手続が異なります。
今回は、「確定申告の内容」が間違っていた場合の対応方法につき解説します。
目次
1. 確定申告期限前の訂正(訂正申告)
確定申告の期限内に、既に提出した申告書の内容を修正したい場合は、「訂正申告」を提出します。
「訂正申告」といっても、別途のフォームがあるわけではありません。
税務署は、申告期限内に複数の確定申告書が提出された場合、最後に提出された申告書を正式なものとして取り扱います。
したがって、改めて「正しい確定申告書」を再作成して期限内に提出するだけとなります。
訂正した箇所だけではなく、全ての申告書を提出し直す必要がある点に、注意が必要です。
(「還付申告」の場合は、既に税務署が還付手続に入っている場合があり、この場合は訂正申告できません)
2. 確定申告期限後の訂正(更正の請求・修正申告)
確定申告期限が既に過ぎている場合に訂正する場合は、別途の手続が必要となります。
税金を①多く払いすぎていた場合は「更正の請求」、②少なく支払っていた場合は「修正申告」となります。
(還付申告の場合は、還付額が少なかった場合は「更生請求」、多かった場合は「修正申告」)
「納付」がまだ、のタイミングでも、確定申告期限後に行う訂正は、すべて「更正の請求」「修正申告」となります。
例えば、個人の振替納税等の場合、例年納付は4月末ごろになりますが、一旦当初の申告(間違えっている税額)で納税を行い、別途「更正の請求」あるいは「修正申告」を行います。
「納付」の場合を前提にまとめると、以下の通りです。
支払った税額 | 内容 | 期限 | 書類 |
---|---|---|---|
多い | 更正の請求 | 当初法定申告期限から5年以内 | 更正の請求書 |
少ない | 修正申告 | 特になし(※) | 修正申告書 |
(※)規定上、特に期間の制限はありませんが、消滅時効との関係で、実質的には5年(ないし7年)となります。
3. 更正の請求
多く払ってしまった税金を取り戻す手続が「更正の請求」です(還付の場合は、還付税金を少なく申告していた場合)。
更正の期限は、法定申告期限より5年以内となります。
「更正の請求書」を作成し、「修正の根拠となる書類」を添付して、税務署に提出します。
「修正の根拠となる書類」は、例えば、経費の計上漏れの場合は追加経費の領収書などが該当します。
ただし、すべての「更生請求」が認められるわけではありません。認められない場合は、後日通知が来ます。
4. 修正申告
税額を少なく申告してしまった場合は、「更正の請求」ではなく、「修正申告」という手続になります。
修正申告の期限は特にありませんが、消滅時効との関係で、実質的には、法定申告期限より5年~7年となります。
(1) 修正申告書
「修正申告書」を作成し、「修正の根拠となる書類」を添付して税務署に提出します。
「修正の根拠となる書類」は、例えば、売上の計上漏れの場合は、売上の請求書などが該当します。
(2) 延滞税
修正申告の場合、当初の法定納期限からの延滞税が加算されます。延滞税は、年によって率が異なります。
5. 修正申告しなくてもばれないか?
(1)反面調査権あり
よく・・修正申告しなくてもばれないか?という質問があります。消滅時効まで放っておいてもばれないのでは?と思われる方もいるかもしれません。
しかし・・税務署はそこまで甘くありません。反面調査(取引先への調査)や、金融機関の情報、口コミ情報等をフル活用して調べています。通常は、消滅時効までに税務署長から決定通知が来ると思われます。
なお、税務署側からの指摘で修正申告を行う場合は、延滞税だけでなく、別途、過少申告加算税が課されます。悪質な場合は重加算税が課せられます。税務調査での指摘も同様です。
延滞税・過少申告加算税、重加算税については、こちらをご参照ください。
(2)少額の場合は?
税務署も、リソースの問題がありますので、大きな税額もれを優先して調査対象にすることが多く、少額の場合はばれない可能性はあります。
ただし、少額でも、確定申告書の中で明らかな計算ミス、適用ミスがある場合は指摘される可能性が高くなります。
したがって、たとえ少額でも、気づいた場合は速やかに自主申告することをお勧めします。
(3)不服申し立て
税務署側からの追徴税額の通知があった場合、納税者が「納得するか」どうかにより、「修正申告」「更正」の二つに区分されます。主体が納税者側か?課税者側か?の違いです。
追徴税額に対する 納税者の納得 | 名称 | 主体 | 不服申立ての可否 |
---|---|---|---|
納得 | 修正申告 | 納税者側 | × |
納得しない | 更正 | 税務署側 | ○ |
修正申告ではなく、更正されたからといって、税額が多くなることはありません。
更正は、納税者に関係なく「税務署側」で行いますので、納税者はこれに不服があれば、「不服申立て」ができます。一方、納税者側で修正申告書を提出してしまうと、不服申立てができない点には注意が必要です。
税務署の方は、後々「不服申立て」があるとめんどうなので、「修正申告」の対応を納税者に依頼することが多いです。
6. 参照URL
(No.2026 確定申告を間違えたとき)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
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