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Q104【社内表彰金】社内コンテスト賞金は所得税課税?永年勤続者記念品・創業記念品は?商品券や旅行券での支給の場合は?

最終更新日:2023/10/06

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Q104 永年勤続者・創業○周年記念品は福利厚生費?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

社員のモチベーション向上等を目的に、「社内表彰制度」を導入されている会社もあると思います。
例えば、営業ノルマを達成した個人に対する表彰や報奨金、部課単位で支給するケースもあります。
また、永年勤続者への表彰や、創業○周年に際して、福利厚生の一環として、従業員に「旅行券」を渡したり「クオカード」を支給するケースもありますね。

こういった取引は、法人と従業員での取引のため、従業員側に給与課税の論点があります。

今回は、社内表彰金や永年勤続者の記念品等に係る所得税の課税関係につきお伝えします。

 

1. 一般的な表彰金の場合

(1) 原則 給与所得

所得税法上、会社から受け取った表彰金や報奨金は、 労働の対価と取り扱われ、個人・部課に対するものに関わらず、原則として、所得税上の「給与所得」と取り扱われます。
したがって、「表彰金を支給した月」の給与に上乗せして源泉徴収が必要となります。
 

なお、あくまで「労働の対価」として受け取る表彰金が課税対象となりますので、お見舞金やお祝い金など「慶弔金」として取り扱われるものは、所得税は課税されません。
 

(2) 部課やグループ単位の表彰金は個人に配分

部署やグループに対する表彰金も、グループ内の各社員への配分金額につき、各個人の給与所得として取り扱います。
 

(3) 社内コンテストの賞金は?

例えば、事業のアイデア募集などで社内コンテストを実施した場合の賞金はどうでしょうか?
こういった場合、ほとんどの場合、一般的な賞金として「給与課税」となります。
例外的に、「通常の職務の範囲外」の場合、例えば使用人等の発明に対して報奨金などを支払う場合は「雑所得」「譲渡所得」「一時所得」になるケースがあります。
 

(4) 法人側の支払時の消費税区分・勘定科目は?

給与課税されるため、消費税は不課税となります。
勘定科目は、給与あるいは福利厚生費(不課税)となります。
 

2. 永年勤続者記念品の場合

(1) 一定の場合課税されない

永年勤続者に対して支給する記念品や旅行・観劇への招待費用の場合は、例外的な取扱いがあります。

以下の要件すべて満たす場合は「給与課税」されないこととされています。

●従業員等の勤続年数や地位などに照らし、社会一般的に見て相当な金額以内
●勤続年数がおおむね「10年以上」の人を対象としていること。
●同じ人を2回以上表彰する場合は、前に表彰したときから、おおむね「5年以上」間隔があいていること。
●現金や商品券等の金銭での表彰ではないこと。

現金や商品券等の金銭での支給は認められていませんので、例えばクオカード、図書カードなどで支給する場合は、金額の多少にかかわらず「給与課税」になる点に注意が必要です。(Q103参照)

 

(2) カタログギフトは?

カタログギフトのように、「自由に選択できる」永年勤続者表彰記念品はどうでしょうか?
こういった自由に記念品を選択できるものであれば、使用者から支給された金銭でその品物を購入した場合と同様の効果をもたらすため、原則、「給与課税」になります(国税庁質疑応答事例 自由に選択できる永年勤続表彰記念)

 

(3) 旅行券は?

旅行券は、有効期限もなく換金性もあることから、実質的に金銭を支給したことと同様になりますので、原則として「給与課税」されます。

ただし、旅行券については例外的な取扱いがあります。
以下の要件を満たす場合は、実質的に金銭を支給したことと同様と認められないため、給与課税しなくてよいものとされています。
 

●旅行の実施は、旅行券の支給後1年以内。
●旅行範囲は、支給旅行券の額からみて相当なものであること(海外旅行を含む)。
●旅行者は、所定の報告書に必要事項(旅行日・旅行先、支払額等)を記載し、エビデンスを添付して会社に提出する。
●旅行券支給後1年内に使用しなかった場合、旅行券を会社に返還する。

 

3. 創業記念・工事完成記念等の場合

例えば、創業30周年記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念として支給する記念品の取扱いは以下の通りとなります。
 

(1) 一定の場合課税されない

創業記念・工事完成記念品の場合も、例外的な取扱いがあります。

以下の要件すべて満たす場合は「給与課税」されないこととされています。

●社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであり、記念品の処分見込価額が1万円(税抜)以下。
●創業記念のように、一定期間ごとに行う行事で支給するものは、おおむね「5年以上の間隔」で支給するものである。

永年勤続者記念品と同様、現金や商品券で支給する場合は、金額の多少にかかわらず「給与課税」になる点に注意が必要です。(Q103参照)

 

(2) 旅行券の例外はなし

金額の多少にかかわらず「給与課税」になります。
長年勤続者のような「例外」はありません。
 

4. 源泉徴収や社会保険料の取扱い

一般的な社内表彰金が「給与課税」される場合、「給与」になるのか?「賞与」になるのか?で、源泉所得税、社会保険の計算が異なってきます。
社会保険上、賞与の定義は「労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のもの」とされています。したがって、社内報奨金は、通常年3回以下のため、「賞与」として処理するケースが多いと思われます。
 

5. ご参考~社内イベントの景品は?

社内表彰金と似たものとして、社内イベントの景品があります。例えば社内忘年会や社内運動会などでもらう景品です。
こういった景品は、社会通念上常識的な金額であれば課税されないものとされています。

【所基通 36-30】
使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、・・課税しなくて差し支えない。

ただし、永年勤続者表彰と同様、現金や商品券で支給した場合は、給与課税される可能性が高いと思われます。
なお、「ゴルフコンペ」の賞金は、一般的に上記の社会通念上の「レクリエーション」の範囲には含まれないと解されており、ゴルフコンペの景品は給与課税されると解されています。
 

6.参照URL

● 課税しない経済的利益
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm

● 永年勤続者の記念品等・創業記念品
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm

● 自由に選択できる永年勤続者表彰記念品
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/07.htm

● 旅行券の支給(長年勤務表彰)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591_qa.htm

● No.2592 使用人等の発明に対して報償金などを支給したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2592.htm

● 創業50周年を記念して従業員に支給した商品券
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/42.htm

7.YouTube

 

YouTubeで分かる「社内表彰金」
 

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