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Q127 会社経費精算でたまったポイントに税金は課税されるのか?/個人のポイントで会社経費の精算は可能なのか?

最終更新日:2023/11/17

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Q127 個人がポイントで会社経費を支払った場合、会社に精算できる?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

最近は、いろんなところで「ポイント」がたまりますよね。
例えば、交通系や流通系のカードでたまったポイントは、現金の代わりの支払手段として利用できます。

この点、会社経費を、個人のクレジットカードで立て替えた結果、個人にポイントがたまるケースもあると思います。
こういった場合、ポイントについては、誰に所有権が帰属するのでしょうか?また、税金は課税されるのでしょうか?

また、逆に、従業員が、個人のポイントで会社経費の支払を行った場合、ポイント部分も含めて、従業員⇒会社に金銭での精算は請求できるのでしょうか?
(今回の論点は、税法上は明文規定はありませんので、個人の解釈となります)

 

1.会社経費立替でたまったポイントは?

会社の経費を従業員が立替払いした場合に、個人側に「ポイント」がたまる場合もありますよね。
例えば、出張の際の交通費を個人カードで立替払いした結果、マイレージがたまる、クレジットカードのポイントがたまるなどです。こういった「ポイント」は、法律上、あるいは税務上どのように取り扱われるのでしょうか?

 

(1)具体例

例えば、以下のような場合です。

● 出張飛行機代 10,000円かかった
● 従業員は、上記を個人カードで支払い、マイレージが1,000ポイント(1,000円相当額)たまった。

 

(2)ポイントは会社に帰属

従業員が、会社経費を支払う際にたまった「ポイント」は、本来、会社が支払うべき経費を「単に個人が立替払」したにすぎないため、、会社側に帰属するものです。
したがって、当該ポイントは、会社に帰属し、個人はポイントを利用できる立場ではありません

とはいっても・・現実的に、会社経費立替でたまったポイントを個人が利用したからと言って、「横領」で訴えられることは少ないかと思います。現状は、会社の運用に任せられていると、いうことになります。

会社の経費精算で溜まったポイントやマイレージを、私的に利用することを禁止する会社もあれば、特に管理されておらず勝手に使ってもかまわない!という会社もあると思います。
 

(3)税務上は給与課税の恐れあり

しかし、現実的に、個人にたまったポイントを「会社に返還」することは難しいですので、最終的には溜まったポイントは「個人が利用」することになる・・場合がほとんどだと思います。
こういった、「本来、会社に帰属するポイント」を、個人が利用した場合・・個人側に税金は課税されるのでしょうか?

所得税上、会社から従業員に対して支給したものは、給与に限らず「金銭以外の経済的利益」につき、給与課税が行われます。(所基通36-15)
つまり、個人が会社の経費を立替した際に溜まったポイントを、個人が利用する場合は・・法人から個人に対して何らかの経済的利益の供与があったものとして、「給与」課税される可能性があります。

ただし・・現実的に、これらに「課税された事例」は、あまりないかと思います。
現時点では、税務上は「給与課税の対象」となり、「将来的なリスクはゼロではない」という点だけ、頭に入れておいてもらえたら十分かなと思います。
 

(4)会社側の対応

とはいっても、上記ポイントにつき「経済的利益」があるからといって・・従業員個人が「確定申告」するのは現実的ではないように思います。本来は、「会社側が整備対応」すべき内容と考えます。

例えば、経費精算でたまったポイントは会社に申告し、会社が給与明細に記載し、給与課税を行う。あるいは、たまったポイントは、次回の「会社経費」に使用する等のルール作りを、会社側で整備する必要があると思われます。
 

2.個人所有のポイントを会社経費として精算できるのか?

会社の経費を従業員個人がポイントで支払った場合、従業員は、会社にポイント分を「金銭で精算」できるのでしょうか?
ポイントはあくまで「個人」でためたものなので、一般常識的には、個人が会社経費支払の際に、ポイントを利用することは、通常はしないと思いますが・・

 

(1)具体例

例えば、以下のような場合です。

● 出張代が10,000円かかった
● 従業員は、上記代金を、現金で9,000円、元々保有していたポイント1,000円相当額で支払った
● 従業員は、上記のポイント分も含めた10,000円を会社に請求した!

 

(2) ポイントは個人に帰属

ポイント自体は、個人に所有権が帰属しますので、個人所有の財産(ポイント)を、法人経費支払いに立替利用した取扱いとなり、通常の現金と同様の法的構成となります。
したがって、法律上は、従業員から法人に対して、ポイント分も含めて精算を要求する権利は、当然にあるという結論になると思われます。

つまり、精算を要求された法人は、「ポイント分の金銭を、従業員に支払わなければいけない」という結論になるかと思います。会社側からすると・・法的には「むげに」断れる理由はなさそうです。

 

(3) 税務上の取扱い

「個人のポイント相当額」は、他の現金と同様、個人財産に帰属するため、法人が従業員に金銭で支払った部分は、ポイント部分も含めて、全額旅費交通費で計上し、給与課税の対象とはなりません。
法人から個人に対する「経済的利益」の供与はありませんので。

 

(4) 会社側の対応

結論ですが・・もし、従業員からポイントの精算依頼があったとしても、「精算できない」と断るわけにはいきません。会社側の立場では、従業員が現金で支払った場合と同様、全額清算する義務があり、支払った金額は旅費交通費で計上します。

なお、会社側の立場では、事務処理やトラブルを避けるために、「会社経費のポイント精算は禁止する」などの「社内規定」を設けておくのもありかもしれませんね。

 

3.参照URL

(経済的利益 所得税基本通達 36-15)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/02.htm

 

4.YouTube

 

YouTubeで分かる「経費精算でたまったポイントに税金は課税される?」
 

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