税金の豆知識
Q136【徹底解説】家賃に消費税は課税されるのか?住居・事務所家賃・マンスリーマンションや社宅の場合は?
最終更新日:2022/02/0326917view
法人に限らず、個人の方も、「家賃」は、毎月の支払の中でも大きなウェイトを占める方も多いと思います。
この点、毎月の「家賃」の請求書を見ると「消費税」が課税されているケースもあれば、非課税のケースもあります。
今回は、毎月支払う「家賃」につき、どういった場合に消費税が課税されるのか?をお伝えします。
なお、今回の論点は、支払側だけでなく、収入側、つまり「不動産賃貸経営」をされている大家様の判断も同様です。
目次
1. 家賃の消費税判断は「土地」と「建物」に区分?
土地の賃貸は、一定の場合を除き、「消費税非課税」となります。
一方、家賃の内訳は、「土地」と「建物」から構成されていますので、厳密には「土地の地代」と「建物の家賃」を分けて消費税判断を行うのか?と思われる方もいるかもしれません。
しかしながら、建物等の貸付に伴う土地の使用は、その建物等の貸付に「必然的に付随」するものですので、こういった「土地の使用」は「土地の貸付に該当しない」旨が明文化されています(令8)。
したがって、たとえ、賃貸借契約で「土地」部分の賃貸料を区分記載している場合も、その部分を含めた賃貸料全額が「建物の賃貸料」として「消費税課税対象」となります(基通6-1-5(注)2)。
2. 利用目的で決まる
家賃に消費税が課税されるかどうか?は、その利用目的によって決まります。
その利用目的が「居住用」なら非課税、それ以外なら課税となります。
利用目的 | 消費税 | 具体例 |
---|---|---|
住居用(居住用) | 非課税 | マンション・アパート・寮・社宅 |
その他 | 課税 | 事務所・店舗・倉庫・駐車場・リゾートマンション・貸別荘等 |
あくまで、「利用目的」で消費税の課税判断は区分されますので、賃貸の相手の法人・個人有無は全く関係ありません。
3. 住居用(居住用)となるための要件
次の要件すべて満たす場合は、住居用(居住用)となり、消費税非課税となります。
契約書に「居住用」明示(※1) | 契約書で「住居用」と明示されている必要あり |
---|---|
契約上の賃貸期間が1カ月以上 | 賃貸期間が1カ月未満の場合は、課税対象。1ヵ月の判断は契約書等で判定 |
旅館業/民泊事業に該当しない(※2) | 一時的な住居のための賃貸となり、課税対象。 |
(※1)賃貸借契約において「住居用」などの「利用用途」が明らかにされていない場合でも、貸付の状況からみて人の居住の用に供することが明らかな貸付け(例 相手が個人の場合など)については非課税となります(令和2年改正)。
契約上、「居住用又は事業用」いずれも利用できる旨の記載がある場合も、同様の判断が可能です。
契約上は「住居用」と記載されている物件を、実際は「事務所」として利用する場合でも、原則として「契約書」で判断を行います。契約上「居住用」と明記されていれば、「居住用」として判定します。
(※2)旅館業や民泊事業は、その利用期間が「1か月以上」となる場合でも非課税にはなりません。
種類 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
旅館業 | 旅館業法第2条第1項に規定する旅館業 | 旅館・ホテル・簡易宿所営業・下宿営業・リゾートマンション・貸別荘等(学生等への下宿は除く)・ウィークリーマンション等 |
民泊事業 | 住宅宿泊事業法第2条第3項に規定する住宅宿泊事業 | 民泊業 |
4. マンスリーマンション・ウィークリーマンションは?
ウィークリーマンションは「旅館業」に該当する場合が多いため、原則「消費税課税取引」となります。
一方、マンスリーマンションは、一般的に「生活の本拠である」ことが認められ、住居用(居住用)と扱われます。
(契約書には「本物件を居住利用する」などの記載があるケース多い)。
したがって、「居住用」の要件に従い、契約期間が1ヶ月以上であれば、非課税となります。
(マンスリーマンションで実務上迷いやすい事例)
法人で一括借り上げ、社宅や出張等で利用するケース | 「住宅」として賃貸し、契約期間が1か月以上であれば、消費税非課税となります。 |
---|---|
結果的に1か月以内に解約した場合 | 契約期間が1か月以上であれば、原則として、消費税非課税となるものと思われます。 |
5. 社宅等で転貸する場合は?
賃借人が「賃借物件」を「転貸」する場合があります。
この場合も、「住居用」として「非課税扱い」がされるのでしょうか?
例えば以下のような場合です。
● | 事業者が「従業員社宅」として一括借借り上げ⇒従業員転貸する場合 |
---|---|
● | オーナーからから不動産仲介会社等を通じて、消費者に転貸するケース |
この場合も、転貸後も住宅として使用することが明らかな場合は「消費税非課税」となります(消基通6-13-7)。
つまり、「オーナー⇔転借人」間の「賃貸借契約」で、例えば「社宅として利用する」などを明記しておけば、貸主への支払家賃と、社員から徴収する家賃、どちらにも消費税はかかりません。
なお、「貸付用途」が明らかにされていない場合でも、その貸付け等の状況からみて、「人の居住の用に供されていることが明らかな場合」は「住宅の貸付け」として非課税とされます。
6. 共益費・礼金等は?
(1) 共益費・管理費・礼金、更新料(返還されないもの)
これらは、家賃と同じ判断となります。「居住用」であれば非課税、その他は課税となります。入居時に支払う礼金・敷引については、「賃貸借契約を締結した」という「役務提供」に対して支払われるものです。
(2) 駐車場・水道光熱費等
駐車場代 | 原則課税 |
---|---|
施設利用料 | 課税 |
水道光熱費 | 課税 |
ただし、上記の請求が「家賃本体価格」や「共益費」に含まれていれば、実質内容にかかわらず、「家賃」と同様の判断となります(居住用か?そうでないか?で判断)。
7. 参照URL
(建物部分と敷地部分を区分記載した賃貸料)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/05/06.htm
(住宅の貸付)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6226.htm
(旅館業に該当するものの範囲 消基通 6-13-4)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/13.htm
(地代、家賃や権利金、敷金など)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6225.htm
(建物を転貸する場合)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6225_qa.htm#q1
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